東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之
はじめに
自治体にとって区域は、技術的には重要な存在なのであるが、「地域における行政」の役割を果たすために「地域における事務」を処理するという点では、地域の方がより本質的である。自治にせよ、為政にせよ、あるいは行政にせよ、個々人、民衆や人間社会に対する作用が重要であり、無人の区域の支配それ自体は、本質的ではない。無人の土地や空間は、何らかの形で人間社会に影響があるからこそ、為政や自治の対象となる。その意味で、区域ではなく地域こそが、自治体にとって不可欠である。地域において、単なる空間や土地や区域ということだけにとどまらず、人間活動が密接に区域と紐(ひも)付けられているからである。
とはいえ、区域がなければ、人間社会や人間活動を紐付けることができない。したがって、区域がどのように人間活動を結合しているかが、つまり、地縁のあり方が、非常に重要になってくる。つまり、区域からどのように地域が形成されるかが、自治体にとっては重要である。
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