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2026.03.25 New! 政策研究

第72回 多様性(その1):構築性

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学) 金井利之

はじめに

 自治体は、国との対比において、特定の地域・区域に限定した行政を行う。その際の一つの理由は、全国的に画一的な行政運営は必ずしも適切ではなく、地域・区域ごとに差異があり得るから、それぞれの地域・区域の実情に応じて、適切な行政運営を行うためには、国による画一的な政策決定ではなく、自治体による自律的な政策決定・執行が必要である、ということが考えられる。
 その場合には、全国では一様ではなく地域・区域ごとの多様性があるとしても、自治体の管轄する地域・区域では、それなりの画一性・一様性が期待されるという前提があるかもしれない。つまり、自治体は、外部に対しては差異や多様性があるが、内部に対しては一様性があるということである。
 このような内部的な一様性を前提にする自治は、ある意味で、「前近代」的な村落・都市の共同体イメージである。つまり、共同体の中では利害対立や意見相違はなく、おのずと合意形成と全員一致が成立するという画一的で一様な世界である。「ムラの平和」である。ロシア語で「ミール(мир)」とは、「村落共同体」であり、「平和」であり、それ自体で完結した「世界」であるが、言い得て妙であろう。これは、外界から隔絶した、争いのない暖かな牧歌的な地域社会のイメージでもあるが、同時に、争いや違いそれ自体を抑圧し、相互に同調を迫るしがらみと相互圧力の世界であり、また、それに応じない存在を排除する閉塞的な地域社会のイメージでもある。「村八分」、「ムラの掟(おきて)」の世界でもある。
 しかし、程度の差異はあるものの、地域社会は必ずしも一様の存在ではなく、様々な人間・団体や要因・側面が混在することがある。そして、自治体はそのような、地域・区域ごとに違った形で、多様性のある地域社会を対象に、行政運営を行うことが普通である。そこで、自治体が対面している地域社会の多様性について、検討してみよう。

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金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学))

この記事の著者

金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学))

東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 1967年群馬県生まれ。東京大学法学部卒業。 東京都立大学助教授、オランダ国立ライデン大学社会科学部行政学科客員研究員、東京大学助教授を経て、06年より現職。 専門は自治体行政学・行政学。主な著書に『自治制度』(2008年度公共政策学会賞受賞)、『原発と自治体』(2013年度自治体学会賞受賞)等。

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