慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司
1 地方議会の誕生と展開
明治期の日本の近代化において範例とされたプロセインの宰相でありドイツ統一を導いたオットー・フォン・ビスマルクは、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と語ったといわれる(1)。現在の日本の状況からは、経験から学ぶことさえおろそかとされているようにも見えるが、歴史から学ぶことの重要性を改めて確認する必要があるとともに、どの歴史から何をどう学ぶかが問われることになる。
そこで、今回は、約150年前まで遡り、日本の地方議会・自治体議会(2)の歴史を簡単に振り返ってみたい。
その前提として、「議会」の意義を確認しておくと、議会は、公選された議員によって構成される会議体であり、制定法や予算の議決などの重要な国家作用等について公開の合議の場で決定するものである。議会制は、自由主義と民主主義の二つの要請が交錯する政治体制(議会制民主主義)であり、国民代表の原理と多数決の原理を基本とする。
ただし、議会がそのような制度となるには、それなりに長い時間を要したのであり、また、それは、選挙権の拡大とともに発達してきたものといえるだろう。
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