慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司
自治体議会が立法機関であることを自負するのであれば、その構成員である議員は、自治立法権についてきちんと理解しておくことが必須であり、その位置付け・意義・限界を見据えて立法に臨むことが、適切な権能行使にもつながるといえるだろう。ところが、自治立法権について、運動論的なものはともかく、理論的に整理された形で論じられることが意外と少ない。少々理屈っぽくはなるが、その点について丁寧に見ておきたい。
1 自治立法権と議会
地方自治体が、地域における共同体であるだけでなく、統治団体であることは、ほぼ共通の理解となってきているように思われる(1)。そして、統治団体として活動を行っていくためには、その根拠となる法が必要となり、その法を生み出す力が立法権である。日本国憲法は、国家権力のうち、立法権と行政権については、国と自治体に垂直的に分割し、自治体に対し自治権として付与するとともに、自治体の議事機関として議会の設置について定めている。
民主的統治団体においては、議会が、国民や住民の代表機関として、その政治的な意思を決定するのであり、その主要な権能として立法権を担うことになる。
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