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2019.01.28 議会改革

議選監査委員制度廃止なら、実地検査権を条例化すべき(その3)

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人口30万人を超える自治体議会議員 木田弥

・議選監査委員制度廃止なら、実地検査権を条例化すべき(その1)
・議選監査委員制度廃止なら、実地検査権を条例化すべき(その2)

 前回に引き続き、「内部統制・監査制度等の改革と住民自治」をテーマに行われた自治体学会議員研究ネットワーク2018研究フォーラムにおける、パネルディスカッションの内容をご報告する。

議選監査委員の優位性とは

 
江藤俊昭(山梨学院大学教授) 議選監査委員制度廃止後に、議会の監視機能をどう担保しているのか強調していただいた。大津市議会の清水さんが提起した後半部分の論点については、議選監査委員を廃止しない議会でも本来的に進めていくべき課題であるため、それぞれの議会で応用していただきたい。続いて所沢市議会議員で、議選監査委員を通算で3年務めた桑畠さんから。
 
桑畠健也(所沢市議会議員) 所沢市議会の桑畠です。大津市議会の清水さんからは、制度論と機能論のお話を頂いたが、私からは実態論のお話をしたい。清水さんは「議員は、監査委員になりたくて議員になったのではないだろう」というお話があった。私も1期目の時には確かにご指摘の通りであったが、実は2期目以降は、監査委員にとてもなりたくて、議員を続けてきた。なぜかといえば、先に議選監査委員を経験した同僚議員が持っていた、監査委員にだけ提供される、詳細かつ大量の監査資料を見たからだ。
 所沢市議会では、議長や副議長を経験しないと、監査委員になれないという暗黙の了解がある。また、議長や副議長という役職についてしまうと自分が大好きな一般質問や議案質疑ができなくなるため、議長職への執着はなかった。しかし、そういった役職を経ないと監査委員になれないということから、平成27年に議長職をお引き受けし、平成28年に議選監査委員となった。
 実際に議選監査委員になってわかったことは、監査委員には様々な行政内部の情報が提供されるとともに、監査委員の指摘事項に対する執行部側の対応が、議員が指摘する場合と比べても早く、確実だということだ。政策提案などの機能は、議員に優位性があるが、問題点の指摘改善機能では、やはり執行部の内部機関である議選監査委員にあきらかな優位性があることがよくわかり、ますます議選監査委員就任への執着心が高まった。

高額な報酬が、議選監査制度充実の阻害要因では

桑畠 所沢市では、監査委員の報酬は6万円である。他方、農業委員は4万円、副議長は2万円。この報酬の差が、議選監査委員制度をより機能させるための阻害要因となっていると考えている。つまり、現状では、議選監査委員は議長手当10万円に次ぐ報酬をもらっており、当然議会内の役職ステータスも2番目に位置づけられる。そういうこともあって、議長・副議長経験後につく役職という位置づけになっているのだろう。議会内人事では、少数会派にはなかなか役職が回らない実情がある中で、議選監査委員にふさわしい議員に、順番が回ってこないというのが実態かと思う。私は報酬が1万円になっても、やりたい気持ちがある。それぐらい通常の議会活動では得られない貴重な価値がある仕事だと思っているからだ。報酬額が下がれば当然報酬目当ての議員や、議会内のステータス重視の議員は、議選監査委員を希望しなくなるのではないだろうか。

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この記事の著者

木田弥(人口30万人を超える自治体議会議員)

人口30万人を超える自治体議会の議員として活動中。

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