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2018.11.26 政策研究

国税森林環境税と森林経営管理法の概要と論点について

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(公財)地方自治総合研究所 主任研究員 今井 照

1 対応を迫られる自治体

 国税森林環境税と森林経営管理法の概要とその論点について整理することとする。ここであえて「国税森林環境税」と表記するのは、すでに37府県等で取り組まれている森林環境保全等を目的とした独自課税制度と区別するためである。 
 国税森林環境税と森林経営管理法は別々の制度であるが、リンクしていると考えられている。2017年12月22日に閣議決定された「平成30年度税制改正の大綱」では、「次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ、平成31年度税制改正において、以下を内容とする森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する」とあるように、両制度が関連していることを示唆する。 
 ただし結論を先に述べておくと、この両者は無理やりリンク「させられた」感があり、必ずしも整合的ではないし、制度設計も現実的ではない。現時点では不明な点も少なくない。だが制度の一部はすでに走り始めており、自治体は2019年度から具体的な対応を余儀なくされ、その予算措置のために2018年内には当面の対応を決めなくてはならない。 
 総務省の事務連絡によれば、「市町村及び都道府県は、森林環境譲与税(仮称)を財源とする森林整備等が円滑に実施できるよう、あらかじめ、関係部局及び都道府県又は管内市町村並びに森林組合や林業事業体等と連携の上、事業内容及びその実施体制等について検討を進めていただきたいこと」⑴とある。したがって制度的な問題点を一手に引き受けることとなる自治体、特に市町村は現実的な対応方法を考える必要に迫られている。本稿ではこのことについても触れていきたい。 
 現在の国の森林政策に対しては批判も多い。特に今回の動きが林業もまた「成長産業」化させるという経済諮問会議のいわゆる「骨太の方針」や日本経済再生会議の「未来投資戦略」、あるいは規制改革推進会議などの流れから起きていることも問題視されている。短期的に主伐(生育した立木を、用材等で販売するために伐採すること)へと軸足が傾き、結果的に荒れた森林を増加させるという批判も根強い⑵。ただし、本稿ではこの問題についてはこれ以上言及せず、直面する自治体の課題として考えていくことにする。

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今井照((公財)地方自治総合研究所主任研究員)

この記事の著者

今井照((公財)地方自治総合研究所主任研究員)

(公財)地方自治総合研究所主任研究員 1953年神奈川県平塚市生まれ 1977年より東京都教育庁(学校事務)、大田区役所(企画部、産業経済部等)勤務 1999年より福島大学行政政策学類教授 2017年より現職 近著に『地方自治講義』『自治体再建−原発避難と「移動する村」』(ちくま新書)など 共著に『福島インサイドストーリー−役場職員が見た原発避難と震災復興』(公人の友社)など

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