可児市議会議長 川上文浩
地域のことを地域の裁量と責任で決める時代に
総務省によると、2017年1月1日時点の日本の人口は1億2,558万人と8年連続で減少した。減少幅は調査開始以来最大で、出生数は初めて100万人を割り込んだという。日本人人口が増加したのは東京都、沖縄県、千葉県、埼玉県、愛知県、神奈川県の6都県で、東京圏への人口集中が顕著となっている。
このように、人口減少時代に突入し、東京一極集中の是正も進まない中、自治体に求められるのは、地域のことを地域の裁量と責任で決めることだ。これからの地域は、住民の意思と判断でその方向を決め、最終的な責任は住民が負う。そのために、地方政治は住民に縁遠いものであってはならず、真に住民のためのものでなければならない。住民のための議会を実現するためには、議会が執行部の政策・施策に対して広く住民の声を聴き、住民の意思を集約し、反映することができる仕組みが必要である。
ところで、二元代表制を「車の両輪」と例える政治家や学者がいるが、その言葉を使うのは間違いではないだろうか。二元代表制を車に例えるならば、それは民主主義の学校としての地方自治の比喩に倣えば、自動車学校の教習車である(相互にアクセルやブレーキを操作し、協力をしたり、けん制をしたりする関係)。首長は執行機関の最高責任者として政策・施策を決め、議会に議案を提案する。議会は議事機関として首長の政策・施策の監視、評価を行い、必要があれば否決や修正を行い、また条例案を提案する。そして、民意を広く政策に反映するためには、市民の代表機関である議会が市民意見を集約することに加え、熟議を重ねることが重要である。つまり「熟議型議会」こそが、唯一住民投票に代わり得る最善の方法であると筆者は考えている。
4つのPDCAサイクル
可児市議会では、「可児市議会4つのサイクルアニュアルプラン―民意を反映する政策タイムライン―」(図1)を作成している。これは、可児市議会が持つ4つのPDCAサイクルを集約したものである。
可児市議会では、このアニュアルプランをベースにして議会の意思決定を行っている。アニュアルプランを構成する、個々の4つのサイクルは以下のとおりである。
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