共稼ぎ夫婦割合の地域差:グラフ
共稼ぎ夫婦割合を都道府県別に示した棒グラフを図2に掲げた。値が低い地域が専業主婦世帯の多い地域である。
表と同じことが分かるが、順位はやや追いにくくなる。数値が記されていなければ上位10位をすべて判別することは難しかろう。大都市圏で低い点は分かるが、北陸など日本海側で高い点は見分けにくい。
その代わりに、上位と下位の突出ぶりの程度や上位と下位の値の違いが目で見て分かる点は、このグラフのメリットである。また、このグラフではそういう傾向が認められないが、東高西低といった傾向が存在すればそれも明確だったはずである。よく見ると東北の中の宮城、九州の中の福岡など地方中枢都市を抱える地域は大都市圏と同様な傾向であることも分かるはずである。
グラフには2007年の値を点グラフで付しておいた。この指標の地域構造は5年前と比べても基本的に同一であることが分かる。しかし、2007年と2012年の比較では、共稼ぎ夫婦割合が上昇した県もあれば低下した県もある。基本的には全国の動きと同様に上昇した県の方が多いが、福島、富山、静岡、兵庫のように低下した県も目立っている。福島の場合は震災や原発事故の影響もあろう。
一方、上昇の方では西日本での上昇が目立つ。グラフだけ見ていてもなかなか分からないが、原データを調べると、上昇幅の大きい順に愛媛、奈良、大阪、長崎、沖縄、宮崎となっており、宮崎までは2%ポイント以上の上昇である。西日本で出生率が上昇しているのと関係があるかが気になるところである(連載第3回「雇用は『東高西低』、出生率は『西高東低』」参照)。
共稼ぎ夫婦割合の地域差:地図
最後に、共稼ぎ夫婦割合を分布地図に表したものを掲げる(図3)。
これで見ると、日本海側で特に共稼ぎ夫婦割合が高い点、また、大都市圏地域や宮城、福岡など地方中枢都市でも同割合が低い(専業主婦世帯が多い)点が一目瞭然であり、表やグラフと比べてもその点が印象的に表されている。層化した区分で示しているので全国1位がどこかは分からない点、また実際の値が分からない点、時系列的な変化が分からない点が欠点といえば欠点である。
プレゼンテーションのために必要なスペース(印刷媒体の場合は紙面)について、表が最も小さくてすみ、グラフや地図は最低でもある程度の面積が必要であり、また作表作図についても、表や棒グラフに比べ地図は作成に手間と時間がかかるなどの点も考慮しなければならない。モノクロかカラーかも表現の効果に影響を与える。
それぞれの表現の効果、発表場所、作成の手間や所要時間などを総合的に判断して、データのプレゼンテーションを企画、実施する必要があるといえる。それぞれの表現を適宜組み合わせるのも効果的である。例えば、図3にランキング表を付したり、上位、下位の都道府県名を順位や値とともに図に書き込んだりして、地図表現の不得意なところを補ったりすれば、より分かりやすい表現となろう。