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特集 これからの時代の議会評価

2021.05.12 議会改革

議会評価、私はこう考える~那覇市議会の経験から

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那覇市議会議員 前泊美紀

はじめまして! 那覇市議会です  

 沖縄県の県都那覇市は、人口約32万人、面積は約40平方キロメートルで、市議会の定数は現在40である。議場はガラス張りの円形で、「開かれた議会」を体現している。議会改革では、議会基本条例を2012年に制定し、早稲田大学マニフェスト研究所の議会改革度調査2019では11位と、ここ10年で躍進した。
 私は、日本生産性本部が主催する「地方議会における政策サイクルと評価モデル研究会」に2017年から参加している。政策サイクルについては、イメージしやすく、先進自治体議会の例もいくつかあり、那覇市議会でも2020年2月に「那覇市議会の政策サイクルの取組状況」をまとめるなど、いまだ課題はあるものの、歩みを進めている。一方、評価については、誰が(評価の主体)、何を(対象)、どのように(基準、スケール)評価するか、あり方が多様であり、もとより客観性や公平性、透明性の確保など、適切な評価設定と実践が比して難しいように思う。
 本稿では、議会評価のあり方について、那覇市議会の経験を踏まえ、私見を述べたい。
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ガラス張りの円形となっている那覇市議会議場

那覇市議会が経験した「評価」とその課題

 那覇市議会が行った評価に類するものとしては、2018年10月から2019年6月にかけて実施した「那覇市議会基本条例の検証」がある。いわば、条例を基にした議会改革の自己評価である。当時私は、議会改革の方向性を決める議会改革推進会議の座長補佐として、座長の命を受け、検証作業の進行ととりまとめ役を務めた。
 検証方法は、まず、全議員に各条文の運用や必要性などについて、検証シートによるアンケートを行い、そこから得た様々な意見を集約した議会基本条例検証シートを基に検証することとした。検証結果として、今後引き続き調査を行い検証する必要がある事項の該当する組織への振り分けや議長への報告を行い、二つの条文を改正した。
 その中で認識した評価手法の主な課題が、次の二つである。
 ① 検証(評価)を行う前に、評価のあり方の方向性を統一すること
 ② 客観的な評価指標の必要性
 これらを挙げた理由は、様々な考えや思い(又は立場)のある議員のベクトルについて、評価に当たる前提として同じ方向性を持たせなければ、主観的な議論に終始し、検証が迷走する可能性が高いからである。
 ①の解決策として考えられる一つの方法は、議会改革や議会評価に詳しい専門家による研修会を事前に開催することである。講師は、その議会の改革を継続して観察し定期的に助言するアドバイザーであれば、なお望ましい。
 ②に関しては、評価ツールの一つとして、日本生産性本部の「地方議会評価モデル」と「議会プロフィール」を活用することが有効であると考えている。研究会でもこの二つを試行したが、議会改革が進んでいて方向性の共有ができている議会は、それぞれの議員が両者を書き込んでもさほど評価に差が生じない。議会内で試してみることで、議会改革への思いの共通点や違いが分かり、方向性の統一を図ることができると予想している。
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出典:「那覇市議会基本条例 検証結果報告書」1頁

図1 議会基本条例検証の取組状況

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