2026.05.11 New! ICT活用・DX
第9回 議会運営・委員会活動の効率化
AI活用で注意すべき点
AIを使えば、議事録の要約や案件整理、タスク抽出はかなり効率化できます。しかし、便利だからといって何でもAIに入力してよいわけではありません。そこで、AI活用の注意点について解説していきましょう。
(1)未公開資料や個人情報は入力しない
委員会資料や内部資料の中には、まだ一般に公開されていない情報が含まれている場合があります。また、住民相談に関係する資料や福祉、教育、医療などの分野では、個人が特定される情報が含まれることもあります。こうした情報を不用意にAIへ入力することは避けなければなりません。
AIに入力する前には、その資料が公開済みのものか、外部に出しても問題ない情報かを必ず確認する必要があります。特に、氏名、住所、連絡先、相談内容、家庭状況、個別案件の詳細などは、原則として入力しないと考えるべきです。たとえ名前を削除していても、地域名や状況の組み合わせによって個人が推測される場合もあります。
(2)AIの要約だけで判断しない
AIの要約は非常に便利です。長い議事録や資料を短時間で整理できるため、全体像を把握する上では大きな助けになります。しかし、要約の過程では、細かな条件や発言のニュアンス、例外的な説明が抜け落ちることがあります。
特に委員会では、わずかな表現の違いが重要になる場合があります。「実施する方向で検討する」のか、「必要性を研究する」のかでは、行政側の姿勢は大きく異なります。また、予算や条例に関する説明では、条件付きの表現や期限、対象範囲が重要になることもあります。
そのため、AIの要約はあくまで入り口として使うべきです。まず要約で全体像をつかみ、重要だと感じた部分や判断に関わる箇所については、必ず原文に戻って確認します。特に、質問に使う内容、住民に説明する内容、行政に確認する内容については、要約だけで済ませず、資料や議事録の該当箇所を自分の目で確認することが必要です。
(3)整理結果は自分の理解で補う
AIは資料を整理することには優れていますが、地域事情や政治的背景、過去の議論の経緯までは十分に理解できません。委員会資料の中身を要約したり、案件ごとの論点を並べたりすることはできますが、その案件が地域でどのように受け止められているか、過去にどのような経緯があったかまでは、議員自身が補う必要があります。
また、政治的な背景もAIには判断しにくい部分です。会派間の考え方、過去の答弁、行政とのやりとり、住民からの相談内容などは、資料の文字情報だけでは読み取れません。だからこそ、AIが整理した内容をそのまま受け取るのではなく、自分の経験や地域で得ている情報と照らし合わせながら補うことが大切です。
AIは、委員会活動を効率化するための有効な補助役です。しかし、最終的に何を重視し、どのように質問し、どのように判断するかは議員自身の役割です。AIの整理に自分の理解を重ねることで、単なる要約ではなく、実務に使える委員会準備になります。
