2 再造林を推進するための具体的な取組
本県の再造林率は70%台にとどまっていますが、全国的に見ると高い数値となっています。しかし、本県の民有林の皆伐面積は約2,800ヘクタールであり、年間約700~800ヘクタールの森林が再造林されていない現状に加え、伐採されている民有林は、道から近く比較的傾斜が緩い、いわゆる「林業適地」で集中的に行われており、林業・木材産業の持続性や多面的機能の低下が懸念されています。今、ここで手を打たなければ、先人たちが築き上げてきた宮崎の豊かな森林を、将来世代へ引き継ぐことができなくなる可能性があります。
そのため、本県では、「グリーン成長プロジェクト」により、本条例の四つの理念、五つの基本施策をよりどころとし、産学官と県民が一丸となって再造林に取り組む「宮崎モデル」を構築することとしており、概念図を以下に示すとともに、「再造林に関する具体的な対策の実施」について、中核的な取組を紹介します。
図2 「宮崎モデル」概念図
まず、再造林意識の醸成に係る最初の取組として、本条例の公布・施行日である令和6年7月2日に、本県の林業関係者など約500人の参加の下、宮崎県再造林推進決起大会を開催しました。知事と宮崎県森林・林業活性化議員連盟連絡会議の丸山会長の主催者挨拶に続き、林野庁の青山長官の来賓挨拶、感謝状贈呈、再造林推進宣言、(独)農林漁業信用基金の牧元理事長(元宮崎県副知事)の基調講演など、盛りだくさんの内容で、参加者一同で再造林に取り組んでいく気運を高めました。大会の様子は以下のアドレス等から令和6年度末までYouTubeで視聴できますので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/-zyAcnChQr0
また、これまで、県や森林組合、素材生産事業者等の連携が十分でなく、森林組合や造林事業者が目の前の造林放棄地に植栽したくてもできない、伐採地の情報が共有されないといった問題があったことから、県内八つの森林組合単位で「地域再造林推進ネットワーク」(以下「ネットワーク」という)を設立しました。
このネットワークは、伐採者、森林組合、造林者、市町村、県の出先機関等の関係者で構成され、森林所有者からの相談対応や伐採情報等の共有、再造林の働きかけ・マッチングにより、伐採から再造林の流れをスムーズにすることで、再造林率の向上につなげていくものです。
さらに、県と市町村が協調して、森林整備に関する補助率を68%から90%へ引き上げることとしています。主な補助要件を、ネットワークの構成員による施業であること、道からの距離が100メートル以内など再造林強化区域であること、省力・低コスト施業であること、造林作業員の賃上げにつながる再造林労務改善計画を作成することとしており、省力・低コスト化の定着や森林所有者・事業者の負担軽減はもとより、造林作業者の待遇改善を図り、担い手確保につなげていくものです。