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2024.04.25 議会事務局

議会事務局を自治体の人気職場に!

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議会・議員と議会事務局職員の関係は「支援」「協力」「参加」に

 2006年の地方自治法改正で、議会事務局職員の役割(従事すること)は「庶務」から「事務」に改められた(138条7項)。にもかかわらず、議会事務局職員の間には依然として「議員のお世話係」意識から脱却できない者が多く、議会事務局は自治体職員にとって人気部署とはいえない状況にある。
 さらに、議員側にも議会事務局職員を「お世話係」ととらえる傾向が依然として強く、議員と議会事務局職員の関係は必ずしも健全とはいえない議会が少なくない。その要因の一つとして、議会事務局職員の「事務(補佐)の射程(範囲)」が公的なもの以外を含むこともあり、不明瞭であることが挙げられるのではないか、という問題意識があった。
 提言ではまず、議会事務局職員の「事務の射程」を明確化する必要性を指摘。次に、「議会・議員と議会事務局職員の関係は『支援』『協力』『参加』に──そのために議会事務局職員による議会運営や政策等に関する発言の場の確保、提案権を」と指摘した。
 審査権や表決権等は公選職である議員が専有しているため、議会事務局職員の発言は、議会運営や議会改革、政策に関する、あくまで「提案」に限定されることに留意すべき、としている。
 国費で公設秘書を3人雇用できる国会議員と異なり、地方議員は公設秘書を一人も雇えない。政務活動費も大都市や都道府県の議員を除くと月数万円程度。町村に至っては2割ほどの議会しか政務活動費を制度化していないし、支給額は月1万円程度だ(全国町村議会議長会「【第69回】町村議会実態調査結果の概要(令和5年7月1日現在)」によると、政務活動費交付条例を制定しているのは全町村のうち21.6%、一人当たりの交付額は月額換算で全国平均9,608円)。
 リソース面からみても、議員と職員の関係をより健全なものとし、議会事務局職員も含めた「チーム議会」の醸成は不可欠だろう。
 提言5と提言6では、議会事務局の人事について指摘している。「任命権者と評価者は同一人物に──議会事務局長の人事上の最終評価者は議長にすべき」「議会事務局職員の人事異動のルール化を」というのは、「事務局長、書記長、書記その他の職員は、議長がこれを任免する」と規定する地方自治法138条5項に、実態を近づけるための提言だ。これは議会事務局職員だけでは困難であり、議長はじめ議会の全議員、執行機関の長・人事担当者の意識改革と行動が求められる。
 法改正に関するものは、提言8の「市町村も議会事務局の設置は必置とすべき、議会事務局の共同設置は不適当」のみ。今後、人口減少がさらに進む中、未設置・共同設置への圧力が強まることが予想される。だが、二元的代表制の観点から、「都道府県と同様に市町村も議会事務局の設置は必置とすべき」とすることで分科会メンバーの認識は完全に一致した。

* * *

 今回の提言は、「議会からの政策サイクル」を作動・構築している(あるいは指向している)全国の地方議会議員及び議会事務局職員に向けてのものだ。議会活動のさらなる充実・強化、住民福祉の向上に寄与することを分科会メンバー一同、祈念している。
 日本生産性本部では5月25日(土)、都内で「『地方議会からの政策サイクル』と成熟度評価モデル〜その現在・過去・ミライ〜」をテーマに公開セミナーを開催。その中で、「議会(事務)局分科会」の提言についても成果と課題を深掘りする議論を行う予定だ。セミナーの詳細は欄外注釈のホームページを参考にしていただきたい(今回の分科会の提言書も同ホームページで全文を公開している)。
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「議会(事務)局分科会」第1回会合(2023年7月15日)。清水克士、岩﨑弘宜、井島慎一の各氏が議会事務局経験も踏まえて意見発表した。

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提言素案について分科会委員に加え、政策サイクル推進地方議会フォーラムのアドバイザー(議員など5人参加)を交えて意見交換。アドバイザーのうち3人は議長経験者だけに議長の任命権などをめぐって活発な議論が行われた(2024年2月3日)。


(1) 日本生産性本部地方議会改革プロジェクトホームページ https://www.jpc-net.jp/consulting/mc/pi/local-government/parliament.html

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