学識者と議会事務局経験者で分科会
日本生産性本部「地方議会改革プロジェクト」が事務局を務める政策サイクル推進地方議会フォーラムでは、準備会を経て、2023年7月に「議会(事務)局分科会」を正式に設置した。
メンバー(委員)は徹底的に議論しようとあえて人数を絞り込んだ。委嘱したのは議会改革に精通する江藤俊昭・大正大学教授(地域政治論)と議会事務局経験者3人の計4人。議会事務局経験者は、各市議会において、「議会からの政策サイクル」の確立に向け、精力的に活動してきた議会(事務)局職員経験者の中から委嘱した。
現職の議会事務局職員(岩﨑弘宜氏、当時・茨城県取手市議会事務局次長)も想定していたが2023年4月、情報管理課長として執行機関に異動してしまった。しかし、結果的に分科会の会合では、直近の経験も踏まえて議長の任命権と人事異動(出向)の現状・課題について議論を深めることができたので、“けがの功名”とさえ感じた。
「補佐の射程」明確化など8項目を提言
分科会では3回の会合を踏まえて提言素案を作成。2024年2月3日(第4回会合)では、分科会委員に加え、政策サイクル推進地方議会フォーラムのアドバイザー(議員など5人参加)を交えて提言素案について意見交換・議論を行った。
参加したアドバイザーは井坪隆・長野県飯田市議、林晴信・兵庫県西脇市議、目黒章三郎・前福島県会津若松市議、前泊美紀・沖縄県那覇市議、津軽石昭彦・関東学院大学教授。このうち井坪、林、目黒の3氏は議長経験者だ。津軽石氏は元岩手県職員で議会事務局経験者。特に議長の任命権や職員の政策提案のあり方をめぐって白熱した議論となった。
その後、修正案について委員からの意見等を踏まえ、4月15日に提言書を日本生産性本部地方議会改革プロジェクトのホームページ上で公表した(1)。
提言タイトルは、『「議会からの政策サイクル」に伴走する議会(事務)局職員像の確立を──議会(事務)局職員の「補佐の射程」』。「主な経緯」「提言の背景」を述べた後、「具体的提言」として次の8項目を列挙している。
(提言1)議会事務局職員の「補佐の射程」の明確化を
(提言2)議会・議員と議会事務局職員の関係は「支援」「協力」「参加」に──そのために議会事務局職員による議会運営や政策等に関する発言の場の確保、提案権を
(提言3)議会事務局の名称を「議会局」に変更すべき、議会局の組織編成権を確立すべき
(提言4)議会事務局の組織目標、組織使命(ミッション)の明確化を
(提言5)任命権者と評価者は同一人物に──議会事務局長の人事上の最終評価者は議長にすべき
(提言6)議会事務局職員の人事異動のルール化を
(提言7)議会事務局職員の独自採用を
(提言8)市町村も議会事務局の設置は必置とすべき、議会事務局の共同設置は不適当