2 条例制定による効果
1(1)で述べたとおり、非居住住宅利活用促進税の目的は、活用されていない非居住住宅を市場に流通させることで、空き家が生じさせる様々な問題を解消しつつ、同時に、ファミリー層のニーズに合った住宅の確保という本市特有の政策課題に対処することです。課税の開始はしばらく先となりますが、そもそもこの税の目的は短期的な税収の確保ではないことから、条例制定によって利活用の機運を高め、課税開始までの間にもできる限り利活用を進める(=課税対象の数を減らす)ことが重要といえます。京都市では、こうした観点から、この間、固定資産税納税通知書への周知チラシの同封、「市民しんぶん」への特集記事の掲載などによる制度の周知に加え、空き家対策関連施策と連動した戦略的な広報(啓発チラシの全戸回覧等)を展開しています。これにより、空き家相談窓口への相談件数が昨年同時期と比べ大幅に増加するなど、既に一定の効果が現れています。
3 今後の課題や運用上の留意点など
非居住住宅利活用促進税は、空き家を含む「非居住住宅」全般を課税対象とした全国初の税制度です。そのため、前述した周知・広報のほか、課税事務に用いるシステムの開発や、課税捕捉を効率的に行う手法の検討、執行体制の構築などが課題として挙げられます。制度を円滑に執行できるよう、しっかりと準備を進めていきます。
また、この税の政策目的を達成するためには、空き家対策等、課税以外の様々な施策とのポリシー・ミックスが重要です。京都市では、空き家の活用・流通の促進を「都市の成長戦略」と位置付けて、空き家対策の更なる強化や、「Dig Home」を合言葉に、空き家を価値あるものとして活用する機運づくりを京都から広める取組を進めています。新税の課税開始後は、その税収をこうした施策に重点的に充て、それを財源としてさらに取組を強化することで、より一層の政策効果を発揮させていきたいと考えています。
〇京都市非居住住宅利活用促進税条例