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条例REPORT

2023.12.11 まちづくり・地域づくり

京都市非居住住宅利活用促進税条例

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京都市行財政局税務部税制課

1 条例制定の趣旨・概要

(1)背景及び目的
 京都市が制定した「非居住住宅利活用促進税条例」は、その名称のとおり、空き家等の居住者のない住宅=非居住住宅の利活用促進を目的とした法定外税を設けるものです。条例1条は、制定の背景や目的について次のように定めています。
 「この条例は、非居住住宅の存在が、本市に居住を希望する者への住宅の供給を妨げるとともに、防災上、防犯上又は生活環境上多くの問題を生じさせ、地域コミュニティの活力を低下させる原因の一つになっていることに鑑み、非居住住宅の所有者に対し非居住住宅利活用促進税を課することにより、非居住住宅の有効活用を促すとともに、その税収入をもって空き家の活用を支援する施策を講じることで、住宅の供給の促進、安心かつ安全な生活環境の確保、地域コミュニティの活性化及びこれらの施策に係る将来的な費用の低減を図り、もって持続可能なまちづくりに資することを目的とする。」
 近年、本市では、結婚・子育て期となる30歳代の人口が近郊都市に流出する状況が続いており、その要因として、若年・子育て世代が求める条件に合った住宅の確保が難しいことが大きく影響していると推察されます。一方で、総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、京都市内の空き家率は12.9%(平成30年時点)となっています。空き家の発生予防をはじめ、活用・流通の促進、適正な管理、跡地の活用までを含めた「総合的な空き家対策」に早くから取り組んできた成果もあり、平成25年時点と比較すると状況が改善しているものの、全国的に人口が減少傾向にある中、今後、さらに空き家が増加していくおそれがあります。
 こうした中で創設された非居住住宅利活用促進税は、活用されていない非居住住宅を市場に流通させることで、空き家が生じさせる様々な問題を解消しつつ、同時に、ファミリー層のニーズに合った住宅の確保という本市特有の政策課題にも対処しようとするものです。具体的には、非居住住宅の所有者に課税することにより、①非居住住宅の有効活用を促すとともに(経済的(ディス)インセンティブやアナウンスメント効果)、②税収入をもって空き家の活用を支援する施策を講じ(財源効果)、これらの相乗効果によって、若年・子育て世代等の定住を促進し、持続可能なまちづくりに資することを目的としています。

(2)検討の経過
 本市では、以前から、政策実現のための自主財源の確保や、都市特性に応じた公平な税制の確立に向け、「課税自主権の活用」に取り組んできたところであり、既に平成30年には、法定外目的税として宿泊税を導入しています。こうした取組をさらに推進するため、令和2年8月に、常設の附属機関として「京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会」を設置。租税法や財政学、税理士といった税制の専門家に加え、まちづくりの専門家や経済・マスメディア関係者、市民公募委員等も交えて盛んに議論をしていただいているところです。
 今般の「非居住住宅利活用促進税」については、当初「セカンドハウス所有者等への適正な負担の在り方について」というテーマで検討委員会に諮問しましたが、議論の中で、「セカンドハウス」との文言にとらわれず、空き家や別荘など居住者のない住宅を広く検討対象としていくこととなりました。そして、令和3年4月に提出された答申において、①住宅供給の促進や居住の促進、空き家の発生の抑制といった政策目的の達成、②現在及び将来の社会的費用の低減を図り、その経費に係る財源を確保すること、の二つを目的として、「非居住住宅」の所有者に新たな負担を求める法定外税の創設が提言されました。
 この答申を基に具体的な制度設計を進め、令和4年2月に条例案を議会に提案。同年3月に可決されたあと、令和5年3月に総務大臣の同意を得て、令和8年以降(予定)の導入が正式に決定したところです。
 

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