2 条例制定の意義
条例は、当事者目線の障害福祉の推進を図ることを一次的な目的とし、もって、障害者が障害を理由とするいかなる差別及び虐待を受けることなく、自らの望む暮らしを実現することができ、障害者のみならず誰もが喜びを実感できる地域共生社会の実現に資することを高次の目的としています。
こうした目的を踏まえ、当事者目線の障害福祉の推進に向けては、障害者をはじめとした県民、市町村、事業者などの皆様とともに進めていかなければならないと考え、条例では、全ての県民が相互に支え合いながら社会全体で取り組むことを基本理念の一つとして掲げています。
このためには、条例の基本理念や目的などを広く県民の皆様が理解し、実践していただくことが必要であると考えており、条例制定以来、市町村、事業者などとも連携して、県民の皆様への普及啓発を行っているところですが、今後も更に「ともに生きる社会」の実現をオール神奈川で目指していく機運の醸成を図っていきます。
条例の実効性を高めていくために、条例では「障害者の地域生活移行に向けた施策」や、「障害者、ご家族からの相談への対応」など様々な施策を基本計画に定め、その実施状況を公表することを、知事に義務付けています。
また、意思決定支援の推進、差別解消、虐待等の防止や早期発見、障害者の社会参加に向けた取組といった具体的な施策についても定めています。
こうした、基本計画に定めた施策などを確実に実施するため、財政上の措置を講ずることを努力義務として定めています。
条例では、このように施策実施の裏付けとなる様々な規定を設けており、これを規範に、本県、事業者、県民等が互いに連携し、一体となって実効性のある取組を進めていきたいと考えています。
そして、本県は、当事者目線の障害福祉の推進を図り、全ての障害者が自分らしく暮らしていくことができる社会環境の整備を進め、障害者のみならず、誰もが喜びを実感できる地域共生社会の実現を目指していきます。
なお、条例の制定に際して、障害当事者の方々から「条文の言葉遣いは難しくて分かりにくい」、「一条一条しっかりと読みたい」という意見をいただきました。このような意見に応えるべく、本県は、障害当事者の方々を中心としたワーキンググループを設置し、公布に合わせて条例の「わかりやすい版」(正式名「みんなで読める神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~」)を作成、発信しました。本県のホームページに掲載しているので、ぜひご覧ください。