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2023.09.25 政策研究

神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~

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(1)当事者目線の障害福祉とは
 定義規定において「当事者目線の障害福祉」とは、「障害者に関わる誰もが障害者一人一人の立場に立ち、その望みと願いを尊重し、障害者が自らの意思に基づいて必要な支援を受けながら暮らすことができるよう社会環境を整備することにより実現される障害者の福祉をいう」と定義しています。

(2)条例の対象範囲
 条例は、全ての障害者を対象としており、定義規定に、条例における「障害者」は障害者基本法に基づく「障害者」である旨を定めています。かつ、後の規定において県民、事業者等の責務、市町村との連携などを定めており、県全体で取組を進めるものとしています。

(3)県の責務
 まずは条例の理念を県民、事業者等に理解していただくことが重要であり、そのため「県は、市町村、事業者等と連携し、障害及び当事者目線の障害福祉に関する理解を深めるための普及啓発を行うものとする」と定めています。

(4)基本計画の策定
 基本計画は、いつまでに何を行うか、という施策の実施についての基本的な計画です。知事はこれを定め、毎年度、実施状況について、インターネット等の方法で公表し、PDCAサイクルを回していくこととしています。

(5)意思決定支援の推進
 本県は、津久井やまゆり園事件の後、同施設を中心に、利用者一人一人にはそれぞれ尊重されるべき意思があるという前提に立ち、本人の意思が反映された生活を送ることができるよう、利用者全員の意思決定支援に取り組んできました。今後は、この意思決定支援の取組で得た知見等を活かし、まずは県内の障害者支援施設への普及を目指すこととしています。条例において「事業者」と区分して「障害福祉サービス提供事業者」の定義を置いた理由は、意思決定支援に取り組むよう努める事業者の対象範囲を明確にする意図です。

(6)差別、虐待等の禁止
 何人も障害を理由とする「差別」、「虐待」のほか、個人としての尊厳を害する行為を禁止しています。また、これらの行為に関する相談窓口の整備について、体制を整備する旨を、後の条で定めています。

(7)社会的障壁の除去と合理的配慮
 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律においては、障害者から社会的障壁の除去に関する意思の表明があった場合に合理的配慮を行う旨が規定されていますが、条例では「意思の表明がない場合においても」合理的配慮に努めるものとしています。

(8)障害福祉に係る政策立案過程への障害者の参加の推進と、障害者主体の活動の促進
 本県が実施する審議会等の会議への障害者の参加を推進するとともに、県内各地で行われている「本人活動」、「当事者活動」、「ピアサポート」といった活動を「障害者主体の活動」として、県が支援することを定めています。

(9)体制の整備等
 条例に関する施策を推進していくため、「生涯にわたる障害者への支援体制の整備」、「自立支援協議会の活動の推進等」、「人材の確保、育成等」など、体制の整備や広域的な調整等について定めています。人材の確保、育成については、当事者や関係団体、議会等の意見を踏まえ、より具体的な事項を盛り込んでいます。

 

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