5 配送だけではない支援
子ども宅食プロジェクトでは食品・日用品等の配送だけではなく、LINEによる相談業務や情報配信、様々な企業などからのイベント招待による親子の体験機会の提供を行っている。
相談業務は、令和4年10月から始まった比較的新しい業務である。LINE相談に対応する相談員は、コンソーシアムから委託を受けた専門知識を有する者が行っており、日々の子育てや教育、家族関係、就労関係といった様々な悩みの相談を受け、解決に向けて取り組んでいる。家庭の状況に応じて、相談員からもLINEでアプローチを行うよう努めている。
情報配信は、例えば文京区の学習支援事業やNPO法人等の奨学金といった学習支援に関する情報、文京区や本事業の趣旨に賛同した企業が実施するイベントに関する情報などを定期的に配信している。また、発信する情報についても、利用世帯の負担にならないよう、基本的に無料で参加できるものを中心に配信している。
様々な企業等の協力のもと、スポーツ観戦やコンサートへ招待したり、配送のタイミングに合わせて食品を活用した講習会を実施したりと、親子でともに語らい合うことでの思い出づくりや、子どもが夢を持つことができる体験機会を提供している。
6 今後の展望
子ども宅食プロジェクトは、文京区、NPO法人及び企業が同じ目的を持ち、対等な関係でパートナーシップを組んで事業に取り組むコンソーシアム形式を採用することで、それぞれの長所を生かし合いながら活動を行っている。例えば寄附企業等の開拓について、各団体が持つつながりを通じて関係先を広げていき、食品やイベントの招待など様々なものを提供していただくことができている。このような活動は、行政が単体で行おうとしても大変難しいため、コンソーシアムならではの強みだといえる。
ここ数年、寄附金が減少の傾向にある。寄附金は運営資金そのものであるため喫緊の課題であり、これ以上減少しないよう何らかの対策をしていく必要がある。また、令和5年5月に新型コロナウイルス感染症の位置付けが変更され、様々な活動が再開されている。徐々に通常の生活に戻るにつれて、各世帯の状況も変わっていき、新たな悩みが発生してくることが今後予想される。これらの解決には多角的な視野を持って対応することが求められるため、様々なバックボーンを持つ団体が集まるコンソーシアム形式の強みを生かして取り組んでいきたい。
子ども宅食プロジェクトは、経済状況の厳しい子育て世帯の負担を少しでも減らすとともに、地域や社会からの孤立を防ぐことを目標としている。この活動に賛同し、応援してくださる人がもっと増えていくよう、そして取り組む自治体が少しでも増えていくよう、先進事例を担う自治体として事業を推進していきたい。