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2023.09.11 医療・福祉

子どもの貧困対策~子ども宅食プロジェクト~

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文京区子ども家庭部子育て支援課

1 子ども宅食プロジェクトの始まり

 子ども宅食プロジェクトは、平成29年10月からスタートした。事業開始時は、抽選で150世帯のみに配送を行っていたが、少しずつ対象を拡大し、現在は対象世帯のうち、希望する約700世帯に配送を行っている。  
 東京都23区の中心に位置する文京区に対して大半の人が持つ印象といえば、裕福な家庭が多いというところかもしれない。しかし、そんな文京区にも就学援助や児童扶養手当を受給する世帯は一定数存在している。しかも周りとの格差が大きいために知られたくないという思いがあり、子どもの貧困が周囲から見えにくいという特性もある。そのような「見えない貧困」に対して適切に支援を実施する方法として、文京区長と子どもの貧困問題に課題を感じていた認定NPO法人フローレンスの当時の代表者により子ども宅食プロジェクトを始めることとなった。

2 子ども宅食プロジェクトの特徴

 子ども宅食プロジェクトは、経済状況が食生活に影響するリスクのある家庭の子どもに対して、企業等から提供していただいた食品等を偶数月に届けるという取組みである。子ども宅食プロジェクトの対象者は、主に就学援助や児童扶養手当等を受給している世帯である。
 子ども宅食プロジェクトの特徴は五つある。
 一つ目は、文京区、NPO法人及び企業が協働して行うコンソーシアム形式を採用していることである。構成団体それぞれが互いの強みを出し合い、子ども宅食プロジェクトの運営を行うことで、行政だけでは気づくことができない視点から状況を把握し、発生する問題に多角的に対応することができる。
 二つ目は、LINEで手軽に申し込めることである。行政や民間における福祉サービスの課題の一つに、利用者が申込みを完了するまでのハードルが高いということが挙げられる。しかし、子ども宅食プロジェクトを利用したい場合、文京区から就学援助や児童扶養手当等の対象世帯に郵送される案内に記載されたQRコードをLINEで読み取り、申込フォームに必要事項を記入すると、偶数月にお米や飲み物・レトルト食品などが自宅に配送されるという仕組みになっている。区の窓口等に行かずとも、自宅で手続が全て完結するシステムになっており、忙しい人でも時間を気にせず申込みをすることができる。
 三つ目は、周囲の目を気にせずに直接的な支援を受けられることである。通常の配送事業者が、通常の配送物を届けるように利用者宅に伺い、周辺住民に宅食を受けていることを気づかれずに食品等を受け取ることができるため、即効性のある支援を行うことができる。利用者にとっても支援を受けるハードルが下がり、見えない貧困を見えないまま支援することができる。
 四つ目は、定期的な配送とLINEでのつながりにより家庭の変化に気がつけることである。子ども宅食プロジェクトでは、配送時、食品等をできるだけ利用者に手渡しすることを心がけている。その際に困りごとなどはないか声かけをすることで干渉しすぎることなく緩やかにつながり、LINEで定期的に連絡をとることにより、何か困ったことがあったときに話しやすい雰囲気を醸成しておく。普段から関係性を築いておくことで、家庭の変化に気がつくとともに、地域や社会からの孤立を防ぐことができる。
 五つ目は、利用者が今以上に困難な状況に陥らないようにするセーフティネットとしての機能である。子ども宅食プロジェクトは、食品を配送することだけではなく、対象となる世帯に配送を行うというプロセスの中で、利用者の困りごとなどが分かった場合、その世帯にとって必要な社会資源を紹介し、つなぐことで、現在の状況から悪化しないよう予防することができる。

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