地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

特集 今求められる子ども施策

2023.08.25 医療・福祉

子どもの権利に関する条例

LINEで送る

4 今後の展望について

(1)子どもの権利の周知啓発
 令和2(2020)年度から、およそ2年半の年月をかけ、「武蔵野市子どもの権利条例」が制定されました。多くの市民、子ども、保護者、子どもに関わる施設の方々などから多様な意見をいただき、さらには市職員、市議会議員とも議論を交わしながら、検討を重ね制定に至った条例です。もちろん、条例が制定されて終わりではなく、今後も、条例の内容の推進と子どもの権利の周知を継続していくことが大切であると考えます。
 武蔵野市では、毎年11月20日を「武蔵野市子どもの権利の日」と定め、子どもや保護者を含む市民が子どもの権利について理解と関心を深めることができるよう、周知啓発の取組みを進めます。子どもたちにも分かりやすい子どもの権利条例に関するリーフレットなどの作成、保育園や学校などの関係者との連携や研修等の取組みの推進にも努めていきます。

(2)権利の侵害からの救済の仕組みづくり
 子どもの権利を守るとともに、子どもの権利が侵害された場合の救済を行うことを目的とした、「武蔵野市子どもの権利擁護委員」について、令和6(2024)年度中の設置に向けて検討を進めています。子どもの権利擁護委員は、子どもの権利の侵害について、子どもからの相談に応じ、必要な支援を行います。
 また、子どもの権利擁護委員は、子どもの権利擁護に関し、普及啓発を推進します。子どもが自分の権利侵害について相談をする場合、「権利を侵害された状態とは何か」を知らなければ、相談をすることができないからです。子どもたちだけでなく、すべての市民に「子どもの権利」と「権利侵害」について知ってもらうことで、子どもが相談しやすい環境づくりや子どもを権利の侵害から救済する仕組みづくりができると考えています。

(3)市民一人ひとりが「子どもの権利」を考え行動するきっかけに
 条例が制定され、「武蔵野市子どもの権利条例とはどのような条例ですか?」、「条例が制定されたことで、どのような効果が期待されますか?」と問われることが多くなりました。改めて、「子どもの権利とは何か?」、「条例が制定されたことで何が変わったか?」と問われても、教科書にあるような、分かりやすい「正解」があるわけではありません。条例推進のための取組みは、行政だけで進めることはできず、市民一人ひとりが考え、行動することが求められるからです。
 平成元(1989)年11月20日の国連総会において「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」が採択され、日本はその4年半後の平成6(1994)年4月にこの条約を批准しました。また、令和5(2023)年4月1日、武蔵野市子どもの権利条例と同じ日に、「こども基本法」が施行されました。しかし、今なお、武蔵野市の子どもたちは、「自分の成績や勉強のこと」、「自分の将来のこと」などについて悩みを抱えています。「学校のこと」や「学校の友だちのこと」、「家族のこと」などで困っていたり、つらいと感じたりしています。これらの悩みや困りごとのすべてが、条例制定により払拭されるわけではありません。
 武蔵野市子どもの権利条例「前文」に記載のあるとおり、「子どもには幸せに生きる権利」があり、子どもたちは、「自分らしく生きるために、自分で考えて行動することができます」。もちろん、悩んだり迷ったりしたときは、周りの人たちの協力や支援を求めることもできます。
 権利の主体である子ども自身や、その子どもの周囲にいる人たち一人ひとりが、「子どもの権利とは何か」、「子どもの権利が侵害されている状態とは何か」、そして「幸せに生きる権利とは何か」を考え、行動してほしいと思います。その契機となるのが「武蔵野市子どもの権利条例」であってほしいと考えています。
 武蔵野市は、市長が交代したり、行政部局の担当者が代わったりしても、この条例を根拠として、子どもの権利救済や子どもの居場所づくり、子どもの意見表明や参加の仕組みづくりを推進し、子どもの権利を大切にした子どもにやさしいまちづくりに取り組んでいきます。今後も行政だけでなく、市民や子どもたちとともに、子どもの最善の利益が尊重される社会の実現を目指し、武蔵野市子どもの権利条例を推進していきます。

○武蔵野市子どもの権利条例(本文)

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る