3 条例制定過程への子どもの参加
(1)中高生世代ワークショップ「Teensムサカツ」
武蔵野市では、中高生世代が、自分たちの未来に関わる事業について語り合い、参加者同士がつながる場として、中高生世代ワークショップTeensムサカツを実施しています。中高生世代の子どもたち(Teens)が武蔵野市(ムサ)を語って(カ)、つながる(ツ)ワークショップ、略して「Teensムサカツ」です。
未来を担う若者世代が、市政や地域活動などに関心を持ち、武蔵野市の施策に関する理解を深めたり自分たちの世代に向けた事業についての提言を行ったりできる場をつくり、中高生世代の意見を施策の参考にすることを目的とした事業です。
年度末に実施されるTeensムサカツワークショップは、令和3(2021)年度は34人、令和4(2022)年度は62人の子どもたちが参加し、「子どもの権利」をテーマにして開催されました。また、このワークショップの企画や準備をするTeensムサカツ実行委員会を、令和3(2021)年度、令和4(2022)年度にそれぞれ6回開催しました。Teensムサカツのワークショップや実行委員会を通じて、たくさんの子どもたちが、検討委員会委員との意見交換を行ったり、パブリックコメント手続に参加したり、条例前文の「子どもたちのことば」について考えたりするなど、条例制定の過程に大きく関わりました。
(2)子どもの権利に関するアンケート
令和3(2021)年8月31日から同年9月10日まで、武蔵野市立小学4年生から中学3年生を対象に、子どもの権利に関するアンケート調査を実施しました。アンケートの回答総数は3,743件、回答率は76%でした。短い期間に多くの子どもたちから回答を得られた要因の一つは、コロナ禍で市立学校の全児童生徒に配付された学習者用コンピュータを活用したことです。また、それだけではなく、各学校に協力を依頼し、子どもの権利への関心を高めるための取組みを積極的にしていただいたことも、たくさんの子どもの声を聴取できた大きな要因の一つでした。
アンケートでは、武蔵野市の子どもたちは、「あなたは、自分らしく生きていると思いますか?」という設問に対して、「そう思う」、「まあそう思う」の肯定的な回答が全体で81.6%と高い一方、「いま、自分について悩んでいること」では、「自分の成績や勉強のこと」、「自分の将来のこと」など、漠然とした不安を感じていることが分かりました。また、「今、困っていること、つらいと感じていること」では、「学校のこと」、「学校の友だちのこと」、「家族のこと」などに多く回答が寄せられました。
(3)子どものパブリックコメント
前述のとおり、子どもの権利条例制定の過程において、武蔵野市では、パブリックコメントの手続を2回実施しました。1回目が、令和4(2022)年5月に実施した検討委員会中間報告に対して、2回目が、同年11月に実施した条例素案に対してのパブリックコメント手続です。この2回を合わせて3,242件もの意見が寄せられました。武蔵野市全体の子どもの権利条例に対する関心の高さが分かります。しかも、このうち、過半数の1,734件は子どもからの意見でした。
子どものパブリックコメント実施の一環として、アンケートも実施しました。「子どもの権利について知っていましたか?」という設問については、「よく知っていた」、「ことばだけは知っていた」の回答が、令和3(2021)年8月の市立学校アンケートでは63.7%、令和4(2022)年5月では76.0%、同年11月では89.5%となりました。子どもの権利条例制定過程での子どもの参加の様々な取組みが、武蔵野市の子どもたちが子どもの権利に関心を持つきっかけとなったのではないかと考えています。