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特集 今求められる子ども施策

2023.08.25 医療・福祉

子どもの権利に関する条例

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武蔵野市子ども家庭部子ども子育て支援課

1 子どもの権利条例づくりの背景

 令和5(2023)年4月1日、武蔵野市子どもの権利条例が施行されました。
 武蔵野市が子どもの権利条例に関する検討を始めたきっかけは、令和2(2020)年度からの子ども施策に関する5年間の計画である、第五次子どもプラン武蔵野に「子どもの権利に関する条例(仮称)の検討」を事業として掲げたことでした。これに基づき、子どもの最善の利益が尊重される社会の実現を目指し、武蔵野市子どもの権利条例の検討が始まりました。
 これまでも、武蔵野市の子どもに関する施策については、5年間を計画期間とする「子どもプラン武蔵野」を策定し、基本理念などにおいて、子どもの権利が尊重される社会の実現に向けた基本的な考え方を示してきました。しかし、こうした計画は時限的なものであり、そのときの市政の状況によって、方向性が変わってしまうことも考えられます。武蔵野市では、従来の子どもプラン武蔵野に加えて、恒久的な条例が制定されることにより、未来にわたってさらに安定的に、子どもの尊厳と権利が尊重される社会の実現を目指した様々な仕組みづくりに取り組むことができると考えたのです。

2 条例の検討経過

(1)子どもの権利条例(仮称)に関する庁内検討会議
 子どもの権利条例を検討するに当たり、武蔵野市では、第五次子どもプラン武蔵野に基づき、令和2(2020)年10月に子どもの権利条例(仮称)に関する庁内検討会議(以下「庁内検討会議」という)を設置し、武蔵野市の子どもの権利に関する課題などの整理を行いました。庁内検討会議では、武蔵野市の子どもの相談窓口に関する現状などについて検証するとともに、他自治体の条例制定の状況、子どもの相談窓口の状況などについて調査を行いました。
 庁内検討会議での検討の結果、子どもの権利を守るためには、子ども自身から相談を受ける機能の強化を図る必要があること、子どもの権利に関する救済条項(子どもの権利擁護委員の設置)を含むことについて検討を行う必要があることなどが確認されました。また、条例制定に向けた検討を進めるに当たっては、市の関係部署が、それぞれの立場で子どもの権利の啓発に資するような取組みを推進するとともに、当事者である子どもを含む市民の声を広く聴取することが求められることなど、条例制定に向けた具体的な方向性が示されました。

(2)子どもの権利に関する条例検討委員会
 庁内検討会議の検討結果を踏まえ、令和3(2021)年5月に武蔵野市子どもの権利に関する条例検討委員会(以下「検討委員会」という)を設置しました。検討委員会は、令和3(2021)年5月27日から令和4(2022)年8月30日まで、2か年度にわたる15か月の間に、コロナ禍のオンライン会議での実施も含め、全9回の会議を開催しました。検討委員会は、子どもの権利条約の専門家である大学名誉教授や弁護士などの有識者、人権擁護委員、主任児童委員のほか、子どもに関する活動を行っている市民団体の方、市民公募委員など、さらに教育や子ども・子育て施策に関わる部署の市の部長級職員を加えて合計14人で組織され、武蔵野市が目指す条例の内容に関して幅広い観点から活発な議論、検討が行われました。
 検討委員会では、会議での議論のほか、子どもに関する市内事業の視察、子どもへのアンケート、子どもの支援に係る施設・関係者へのヒアリング、中学生・高校生世代の子どもとの意見交換など、多岐にわたる活動が精力的に行われました。こうした活動を通じて検討した内容が、令和4(2022)年5月に検討委員会中間報告としてまとめられました。この検討委員会中間報告について、武蔵野市は、1回目のパブリックコメント及び市民意見交換会を実施しました。市民意見交換会は3回実施し、延べ47人の市民が参加しました。ここに寄せられた多くの子どもや市民の意見を参考に中間報告を修正し、同年9月に最終的な報告書が検討委員会から武蔵野市へ提出されました。

(3)条例素案の作成とパブリックコメント手続の実施
 検討委員会からの報告書の提出を受けて、武蔵野市の子ども施策を効果的かつ戦略的に実施するために設置されている、子ども施策推進本部(本部長:市長、副本部長:副市長及び教育長)において、さらに検討を重ねました。また、並行して文言等について法務部門と協議し、子どもに理解しやすく親しみやすいものとなるよう、できるだけ平易な用語を用いるなど様々な工夫と検討を行いました。子ども施策推進本部は、武蔵野市子どもの権利条例(仮称)素案(以下「条例素案」という)を作成し、令和4(2022)年11月、武蔵野市による2度目のパブリックコメント及び市民意見交換会を実施しました。
 市民意見交換会は、実施する地域や開始時間、曜日を変えるなど、できるだけ多くの市民が参加しやすいよう工夫をして3回実施し、延べ42人の市民の参加がありました。このほか、子ども・子育て関係団体や教育・保育関係団体などへオンラインの説明会も3回実施し、延べ46団体の参加がありました。
 パブリックコメント及び市民意見交換会に寄せられた意見を踏まえ、様々な検討・修正を加えて条例案を作成し、令和5(2023)年2月、武蔵野市議会第1回定例会に提出しました。市議会に上程された武蔵野市子どもの権利条例は、文教委員会での審査の後、本会議において賛成多数で可決され、同年3月22日公布、同年4月1日に施行されました。

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