地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

特集 自治体議員の“なり手不足”問題

2023.08.10 なり手不足

“逆マニフェスト”を手に「市民自治」の選挙を目指した12年間~市民派女性市長の誕生をもたらした「市民マニフェスト選挙」の背景~

LINEで送る

選挙前年には「市民マニフェスト」の成果検証大会も市長を招き開催

 泉市政は、全国的には子ども施策や障害者、社会的弱者等への手厚い支援施策で高い評価が続いていたが、他方では2度にわたる職員や議員に対する「暴言」騒ぎで辞職したり、政治家引退を表明するなど、この4年余りは揺れ動き、また肝心要の「市民参画」の市政運営よりもトップダウンによる“強権”的な市政運営も目立った。
 この間、12年にわたって「市民マニフェスト選挙」に取り組み、今春の選挙まで4回にわたる「市民マニフェスト」を策定してきた政策提言市民団体「市民自治あかし」は、泉市政については一貫して「是々非々」の態度を貫き、選挙の前年をめどに「市民マニフェスト検証大会」と呼ぶ“中間チェック”の討論集会に市長を招いて討論を重ねてきた。
 2023年春の統一自治体選挙を前に、昨年11月20日には「検証大会」を予定し、半年間をかけて泉市政の検証を行い、市長に質問書を事前に提出していた。今回は、予定した検証大会の1か月余り前に市長の2回目の暴言騒ぎが起き、10月の本会議で「今期限りの引退」を表明したことから一時は検証大会の開催も危ぶまれたが、予定どおり市長は出席し、2時間余りにわたって時には激しい議論も交わした。

市議選でも現職、新人候補者を招き「公開討論会」を開催

 今期のトリプル選挙(県議、市長、市議)に際しては、前回4年前に続き市議選でも「公開討論会」を開催した。今回は市長が退任表明し、「後継市長候補の擁立」と「市議会の市長への“反対勢力”だった自・公会派の過半数割れ」を目指した新人市議や県議を市長自らが擁立し、12月から6人の新人を従えて市長が先頭に立って街頭活動を展開していた。市長・市議のダブル選挙の場合には、どちらかといえば市議選は市長選の陰に隠れてしまうことが多いが、今回は「明石市民の会」を名乗る泉派候補の行方とともに市議会の勢力関係がどうなるかに関心が集まり、定数30に対して43人が立候補する激戦になった。
 市議選の公開討論会は候補予定者全員に案内を出したが、3月19日の討論会への出席は前回同様12人になり、その上、当日になっての欠席が3人も出たことから、9人による討論会になった。今回は候補者による公開討論会の前に、現職議員ら全員に案内を出して1月末に「市議会運営はどうあるべきか」と題した「市民と議員の意見交換会」も開いた。道半ばの市議会改革の中身について市民自治あかしから問題提起し、出席した4人の現職議員と市民40人が3時間余りにわたってシビアな意見交換をした。

土壇場で泉市長が選んだ後継候補は、市民運動の現役で市議2期目の女性

 さて、今春本番の市長選挙の構図はぎりぎりまでもつれ込んだ。10月に今期限りの退任を表明した泉市長はその後も「後継者の公募」を先送りし、議会多数派への挑発的な対応を繰り返していたことから、「土壇場で再出馬?」の観測も流れる中で、対抗する自民党は3月上旬になって市議2期目の林健太氏の擁立を発表した。3月議会が閉会した3月24日になって泉市長はようやく後継候補を明らかにし、25日に記者会見して同じ市議2期目の丸谷聡子氏が立候補を表明した。
 丸谷氏は、日本野鳥の会の中心メンバーとしても活躍し、環境教育分野では全国的にも知れ渡っている市民運動の活動家であり、明石市内でも早くから環境保全や環境教育の市民団体を率いる一方、市民自治あかしの中心メンバーとしても活動してきた活動家。泉氏がそうした人物を自らの後継候補に指名したことは、丸谷氏本人や周辺にとっても青天の霹靂(へきれき)であった。ただ、泉氏がそうした人材を「後継者」に選んだ理由が明らかになるにつれて、大方の評価は「いろいろあったが、泉氏は最後に有終の美を飾った」という見方が大勢を占めた。
 立候補会見から1週間後、3月31日の県議選告示日から明石市内は3週間余りにわたってトリプル選挙のうねりが4月23日の市長・市議選投票日まで続いた。その模様と意義付けは、選挙戦と並行して8回にわたって私が書き続けた「論評・2023明石市長選挙」に詳しい。市民自治あかしのホームページでご覧いただきたい(https://a2305genjin.net/sharing-site/page-310)。

この記事の著者

編集 者

今日は何の日?

2025年 428

日本銀行開業(明治16年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る