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2023.07.25 議会改革

政治の劣化(投票率の低下・無投票当選者率の増加)の打開策(5・最終回):なり手不足の打開の誤解と打開のもう一歩

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大正大学社会共生学部公共政策学科教授 江藤俊昭
 

【目次】(青字が今回の掲載部分)

 1 選挙に行かない、選挙に行けない現実──民主主義を「ゆでガエル」に
  しないために

 2 政治の劣化のデメリット
 3 議員のなり手不足の要因
 4 議員のなり手不足の打開の方途
 5 正攻法の豊富化のもう一歩:選挙を意識する
 6 なり手不足解消の特効薬:政治分野における男女共同参画推進法
 7 選挙を活性化させる新たな自治の動き
 8 なり手不足解消の方途の誤解
 9 選挙制度への着目──地方政治の劣化の解消法のもう一歩

 

8 なり手不足解消の方途の誤解

 なり手不足解消の正攻法を解説してきた。ぜひ、これに基づき議論を巻き起こし、実践していただきたい。しかし、なり手不足解消の方途の誤解も散見される。議論の拡散を防止するために、誤解を是正したい。

誤解1:議員報酬を増額すれば……
 議員報酬の増額は、議員のなり手不足解消につながる道の一つだ。とりわけコロナ禍の時期に住民への説明を怠って報酬増額を行えば、当然、住民から批判を浴びる。議員報酬は住民自治を進める議会の条件なので、議員の活動量と内容を説明することが前提となる。住民に十分な説明をせずに増額の報酬条例を改正した自治体の中には、住民が元に戻す条例案を直接請求し、それを議会が否決すると、選挙で多くの新人が当選する結果となったところもある。
 住民の納得が弱い議会では、報酬を上げられないか、増額したとしても住民の理解を得ることはできず、なり手不足解消の持続的な解消策にはならない。
 なお、年齢別に報酬額を区分する議会もある(若年層に手厚く)。「役務の対価」という報酬の性格との整合性が問われる(監査請求への対応)。また、ある年齢に達すれば報酬額が下がることに違和感はないか。次善の策としては理解できるが、慎重な議論が必要だろう。

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江藤俊昭(大正大学社会共生学部公共政策学科教授)

この記事の著者

江藤俊昭(大正大学社会共生学部公共政策学科教授)

大正大学社会共生学部公共政策学科教授。 1956年東京都生まれ。1986(昭和61)年中央大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。専攻は地域政治論。 三重県議会議会改革諮問会議会長、鳥取県智頭町行財政改革審議会会長、第29次・第30次地方制度調査会委員等を歴任。現在、マニフェスト大賞審査委員、議会サポーター・アドバイザー(栗山町、芽室町、滝沢市、山陽小野田市)、地方自治研究機構評議委員など。 主な著書に、『続 自治体議会学』(仮タイトル)(ぎょうせい(近刊))『自治体議会の政策サイクル』(編著、公人の友社)『Q&A 地方議会改革の最前線』(編著、学陽書房、2015年)『自治体議会学』(ぎょうせい、2012年)等多数。現在『ガバナンス』(ぎょうせい刊)連載中。

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