*地域民主主義=政治の劣化は進んでいる。「ゆでガエル」にしないためにも、抜本的な改革が求められている。時間は限られている。
とはいえ、地域民主主義は着実に進んでいる。すでに指摘した政治の劣化の打開策の動向だけのことではない。2000年の地方分権改革や地方財政危機の浸透によって、地方政治の役割は飛躍的に高まった。自治(まちづくり)基本条例の制定の広がりは、これを受けている。2003年には、北川正恭さんが政策型選挙を活性化させるためにマニフェスト選挙を提唱した。2006年には、住民自治を進める議会像を明確にした議会基本条例が北海道栗山町において制定され、現在、900以上の自治体にまで広がっている。まさに、政治の季節の到来である。
その政治の季節における様々な実践の情報共有の場としてマニフェスト大賞をはじめ、議会・議員のネットワークは充実してきた。それによって「善政競争」は活発化し、波及効果が出ている。政策型選挙や住民自治を活性化させる運動が地方自治を舞台に重層的に展開される時代となった。改革の種は散りばめられている。
こうした住民自治の新たな充実を確信しつつ、政治の劣化を打開しよう!
【付記】 江藤俊昭『議員のなり手不足問題の深刻化を乗り越えて』(公人の友社、2019年)、統一地方選挙を踏まえて、今後の展望を議論した、同「『自治体議会学』のススメ」ガバナンス、第26回~第30回(2011年5月号~9月号)、第73回~第75回(2015年4月号~6月号)、第122回~第126回(2019年5月号~9月号)を参照していただきたい。また、同「議員のなり手不足解消への道──住民自治の空洞化からの脱却──」ガバナンス2022年6月号特集(次期統一地方選挙と首長・議員)、同「分かりやすくて面白い議会(フォーラムとしての議会)の創造 第4回 議会本体の多様性の意義と新たな動向」実践自治Beacon Authority Vol.93(2023年春号)を一部活用した。