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特集 自治体議員の“なり手不足”問題

2023.06.26 なり手不足

政治の劣化(投票率の低下・無投票当選者率の増加)の打開策(3):なり手不足解消の正攻法の豊富化と特効薬

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(2)選挙を意識した議会活動
ア 北海道浦幌町議会の政治塾(2019年選挙の実験)
 こうした日常的に議会・議員活動を住民に知らせ、住民とともに活動することは、議会改革にとっても、なり手不足解消のためにも重要である。同時に、立候補する住民の背中を押す試みも重要である。北海道浦幌町議会は、なり手不足に危機感を抱き、その解決に向けて報告書を作成・発表して実践し、選挙が行われた(2019年統一地方選挙に向けて実施(残念ながら、2023年には実施されていない))。
 浦幌町議会は選挙の1年前に、地方自治や選挙に立候補するための知識やノウハウ等を学ぶ政治セミナーを開設した(総合計画等、地方財政の読み方、マニフェスト作成等)。後継者の育成を議員個人に任せるだけではなく、議会として取り組むことが重要だ。
イ 北海道栗山町議会の「議員の学校」(2023年の実験)
 北海道栗山町議会は、2023年統一地方選挙に向けて、立候補に意欲を持つ住民の背中を押す試みを実施した。「議員の学校」である。
 2度にわたり町議会議員選挙が無投票となった(2015年、2019年)。そこで、危機感を持った議会の試みが「議員の学校」だ。栗山町議会は、全国に先駆けて「議会基本条例」を制定した議会としてはゆゆしき事態と認識し、打開に向けた議論を重ねた。そこで、なぜ議員のなり手がいないのかを問い、「議員の学校」を開講した。「なり手不足→議会や議員に対する理解や魅力を伝える取組みをしましょう→議会として次世代の議員を発掘・育成する取組みをしましょう→議員の学校を開校しよう!」となったわけだ(1)
 参加資格は、18歳以上の栗山町議会議員を目指している人、又は関心のある人で、「栗山町民以外でも参加」できる。統一地方選挙に立候補を予定している人や議会や議員に興味のある人等のなり手となりうる人の発掘・育成をすべきとのことで、早急に取り組むこととなった。まさに、主権者教育の意味でもこの施策は重要である(2)
 議員の学校では、立候補予定者がマニフェスト作成のヒントやアイデアを得ることができる。「議会って何をするところ? 議員は普段どんな活動をしているの? 議員のやりがいって? 議員を目指す人のさまざまな疑問を解決し、議員になるための『いろは』を全6回で学」ぶものである。
 2023年2月20日から3月17日まで、「議会のキホン~議会と議員の役割」、「議員に聞いてみよう~議員活動の実際」、「傍聴してみよう~①議会運営委員会編、②定例会議 一般質問編、③予算審査特別委員会編」、「全日程のまとめ」といった内容である(3)
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出典:栗山町議会資料より作成。

表4 栗山町「議員の学校」の日程

 参加者は19人。町内11人、町外8人(札幌市4人、東京1人、近隣の由仁町、長沼町、南幌町が各1人)となった。
 「議員の学校」の参加者のうち3人が立候補し、全員が当選した(定数11人に対し、14人の立候補)。立候補者は、現職8人、元職1人、新人5人で14人となり、結果、現職6人、元職1人、新人4人が当選。投票率は63.7%となった(直近の選挙があった際(2011年)の投票率は71.8%(定数13人、立候補者15人))。
 「議員の学校」は、なり手不足を解消する有用な手法である。しかも、「議員の学校」を受講して議員となった人たちは、即戦力としても有用である。今回は、特別委員会の方向を経た後に開校を企画したために、選挙戦直前であった。1年程前から、数回にわたり(テーマを分けながら)開催することも考えてよい。

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