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特集 自治体議員の“なり手不足”問題

2023.06.26 なり手不足

自治体議員を取り巻くハラスメントの現状とメンタルケアの重要性

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議員がハラスメント対策やメンタルケア対策に取り組むべき理由  

 これまで紹介したとおり、政治分野はハラスメントが発生しやすい環境であり、候補者男女均等法の改正によって政治分野のハラスメント対策が義務化されるようになりました。そこで、議員がハラスメント対策やメンタルケア対策に取り組むべき理由を紹介していきます。

(1)民間企業では対策が進んでいる  
 民間企業では令和2年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」という)改正によりパワハラ防止対策が義務化され、大企業は令和2年6月から、中小企業は令和4年4月から対策が義務化されるようになりました。この法律が改正された背景には、先述したとおり職場でハラスメントを受けた経験がある従業員が32%を超え、職場でのパワハラを予防・解決し、働きやすい職場環境を構築することが求められる社会情勢となったことが挙げられます。
 この法律改正を受け、民間企業ではパワハラ対策に関する就業規則の記載や社内周知、相談窓口の設置、ハラスメント対策研修が義務化されました。令和4年からは全ての企業がこの法律に基づいて対策を実施しており、民間企業ではハラスメント防止に向けた取組みが着実に進んでいます。

(2)自治体や議会では対策が全く進んでいない  
 民間企業では対策が進んでいる一方、ハラスメント対策に関して条例化している自治体は、令和5年6月現在で1,718自治体のうち27自治体しか存在していません(2)。実施率が1.3%であることを考えると、全く対策が進んでいない状況といえるでしょう。  
 労働施策総合推進法が改正された翌年に当たる令和3年には候補者男女均等法が改正され、政治分野でのハラスメント対策が義務化されました。条文の中では「国・地方公共団体の施策の強化」が明文化され、「家庭生活との両立支援のための体制整備」、「セクハラ・マタハラ等への対応」が盛り込まれています。  
 具体的な対策として、民間企業と同じように「防止に資する研修の実施」、「相談体制の整備」が挙げられており、今後は自治体や議会でハラスメント防止条例の制定やハラスメント対策に向けた施策に取り組む必要があります。

(3)自治体議員が率先してメンタルケアの推進に取り組む必要がある  
 改正候補者男女均等法は国や自治体、政党に対して対策を義務化していますが、その目的は、より多様な人材が自治体議員として活躍することであり、当事者である議会や自治体議員もこの法律改正を機に率先してメンタルケアに取り組んでいく必要があります。
 メンタルケアとは一般的に、「その組織で働く人が健全に働ける配慮をすること、及びそのような取組みが組織内で円滑に実践されるような仕組みをつくること」と定義されており、一人ひとりの議員が率先してメンタルケアに取り組むことが、多様性のある議会づくりにつながり、ひいては多様性のあるまちづくりの模範を示すことにつながります。

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