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特集 自治体議員の“なり手不足”問題

2023.06.26 なり手不足

自治体議員を取り巻くハラスメントの現状とメンタルケアの重要性

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(2)ハラスメントは選挙期間中よりも議会活動中の方が多い  
 ハラスメントを受けた時期については「現職の任期中」が最も多く、78.1%の政治家がハラスメントを経験しています。次いで多いのが「新人の政治活動期間中」で、44.1%の政治家がハラスメントを経験しています。
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出典:一般社団法人ポリライオン「政治家ハラスメント白書」(2022年)
図6 ハラスメントを受けた時期  

 政治家が受けたハラスメントの内容を分析すると、最も多いのが「パワー・ハラスメント(パワハラ)」です。パワハラとは「優越的な立場を利用したいじめや嫌がらせ」のことで、投票権を持っている有権者や当選期数の多い先輩議員、議長や委員長といった役職者から新人議員や若手議員がパワハラを受けるケースが多く見受けられます。  
 続いて、政治家がどのようなハラスメントを受けているのか、具体的な内容を紹介していきましょう。

〈有権者からのハラスメント〉
・支援の見返りとして、違法な陳情事項の遂行を要求される。
・駅頭にてビラを配布中に物を投げつけられたり、ビラを破り捨てられたり、罵声を浴びせられる。
・昼夜を問わず電話がくる、誹謗(ひぼう)中傷のメールが届く。
・キスしてくれなければ投票しないと脅してくる。
・SNSで下着を売ってほしいという連絡がきた。  
 有権者からのハラスメントは、投票や支援と引き換えにした要求が多いのが特徴です。男性議員の場合は暴行や暴言を受けるケースが多く、女性議員の場合は性的な行為を要求されるケースが多く見られます。  
 政治家は選挙に当選しなければ議席を預かることはできないため、特に新人のうちは有権者と接する経験が少ないことから「これはハラスメントではないのか?」と疑問を持ちつつも、当選のためにハラスメント被害を甘受しているのが現状です。

〈同僚議員からのハラスメント〉
・同会派の先輩議員から個室に呼び出され、「議場で発言するな」と圧力をかけられる。
・先輩議員に、勝手に個人のパソコンの情報を抜かれた。
・必要以上にヤジを飛ばされ、質問・質疑を妨害される。
・男性議員から「ホテルに行こうか?」と誘われる。
・(女性先輩議員から男性後輩議員が)結婚についての時期や展望などをしつこく聞かれる。
・議会で紹介動画をつくる際、「女性だから」という理由でインタビューする役を任された。
 同僚議員からのハラスメントは、先輩議員が後輩議員を従わせるためにパワハラをするケースが多くあります。また、議会内でのセクシャル・ハラスメント(セクハラ)も多くの被害が寄せられており、議会内での対策は急務といえる状況となっています。  
 特徴的なのは、以前であればハラスメントとはとられなかった「いつ結婚するんだ?」、「子どもは3人は産まないとダメだぞ」といった発言もハラスメントとみなされるケースが増えていることです。これは男性議員から女性議員に対してだけでなく同性同士でも発生しており、世代間の価値観のギャップにより何げない会話がハラスメントにつながることがあるということに十分留意しなければなりません。
 

(3)多様な人材が議員になったことで、これまで以上に重要なテーマになっている  
 令和5年統一地方選挙における女性当選者の割合は、道府県議会で過去最高の14.0%となり、区・市議会議員選挙においても過去最高の24%となりました。  
 一方で地方議会議員の平均年齢は、都道府県議会議員や区・市議会議員が56歳と高い水準で推移しており、町村議会議員は64歳とさらに高い年代構成となっています。今回の統一地方選挙で女性や若者といった多様な人材が議員になったことで、これまで以上に議会内での価値観のギャップが生まれる可能性があります。  
 多様な人材が活躍できる環境を議会として整備することは、多様性のある社会形成において極めて重要であることから、議会の多様化は議会改革として取り組むべき重要なテーマであるといえるでしょう。

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