(2)打開の方途に向けての新たな環境変化
統一地方選挙をめぐる課題は、新型コロナウイルス感染症への対応の検証といった新たなものはあるが、前回(2019年)の統一地方選挙の課題を継続させている。選挙(統一地方選挙)を住民自治の進化の機会とする手法を考える本連載では、この4年間の環境変化を確認しておかなければならない。具体的には、投票率の低下、議員のなり手不足、議員の多様性といった議会の担い手にかかわる環境変化である。
まず、法律制定・改正、最高裁判決、総務省の解釈、全国市議会議長会等の標準議会会議規則の改正などがある。また、自治体独自の努力や住民の自主的な取組みも重要である(表3参照)。
表3 選挙をめぐる環境変化(2019年統一地方選挙から)
選挙を住民自治の深化の機会とするこれらの動向について確認する。とはいえ、相変わらず投票率の低下を促進する施策も見受けられる。投票所の統廃合や投票時間の繰上げである。需要の減退、立会人の不足などの要因はあるが、代替措置(投票日や期日前投票期間の移動手段の確保など)がなければ投票率が低下するのは当然である。
(1) 第32次地方制度調査会答申(2019年)では「議員報酬については、主として小規模市町村において、それだけでは生計を維持できないほどの低水準であり、そのことが議員のなり手不足の要因であるとの議論がある」と指摘し、その解決のための提案がある。第33次地方制度調査会答申でも同様の指摘と提案がある。この提案は、全国町村議会議長会モデルと軌を一にしている。議会力・議員力アップ、そして住民自治の充実・強化のための手段として議員報酬を充実させる手法の開発を目指して、全国町村議会議長会『議員報酬・政務活動費の充実に向けた論点と手続き~住民福祉の向上を実現する町村議会のための条件整備~』(2022年2月)が刊行された(筆者への委託研究報告書)。議員報酬を効率性(行政改革)の論理から議論する思考を批判するとともに、議会のあり方を超えて住民自治のあり方を問うている。ここでは、新しい原価方式を提起している。
(2) 磯道真「報酬格差は最大6倍──報酬が高いほど平均年齢低く」地方議会人2022年4月号23頁。なお、2018年度のデータが活用されている。