(3)政治の劣化のもう一つの要因
政治的無関心のまん延という政治の劣化がある。この要因は、様々であろう。政治と生活が切り離されたことは、最も重要な要因の一つである。
統一地方選挙の投票率を見ると、第2回(1951年)から、長期の低落化である。ただし、1960年代後半から1970年代には、投票率は横ばいか上昇している。その後、また低下に向かっている。
1960年代後半から1970年代は、経済優先による環境破壊に対する抵抗運動とともに、社会保障・社会資本・社会保険(松下圭一氏の「シビル・ミニマム」)をめぐって、その充実のための住民運動が広がった。いわゆる革新自治体も登場した。政治は、住民に近づいた、より正確にいえば住民は政治を求めた。社会資本等がある程度達成されると、その後のこれらのサービスは、行政が担うわけではなく、民間に委ねられる。住民は行政に働きかけるというより、私化=消費者志向に染まり、政治からは切断される。政治への無関心はさらに促進された。
政治の劣化のもう一つの要因だ。この打開の可能性は、今日の縮小社会という環境を踏まえて提起される。縮小社会には、公共施設の統廃合問題が浮上する。これを住民・議員・首長等が議論して方向を探ることが必要である。拡大志向から縮小志向への転換であり、その環境でのミニマムを探ることである。政治への関心を地域から高めることになる。これは、政治の劣化の打開には有用である。
表2 シビル・ミニマムの変遷