(3)新技術の導入促進に向けて
国土交通省ではこれまで、インフラメンテナンス分野において、新技術の導入により作業の省人化・効率化を図ることが可能であることから、新技術の導入促進に向けた取組を行ってきた。一方で、新技術の導入に当たっては、導入コストや内部調整段階での技術の有効性の判断等が課題となっている。特に新技術の活用に不慣れな小規模地方公共団体等にとっては、新技術の導入のノウハウが不足していると考えられる。そこで、2018年度から「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」を活用し、地方公共団体におけるモデルケースの実施を通じて、「インフラ維持管理における新技術導入の手引き(案)Ver0.1」を作成、2021年3月に公表したところである(図10)。
図10 インフラ維持管理における新技術導入の手引き(案)
また、新技術の活用を促進すべく、2021年度から、コスト縮減や省力化の見込まれる新技術等を活用する事業に対して、補助金の優先支援の対象とするなど、財政的インセンティブの仕組みを導入している。
「戦略マネジメント」の取組を進めるに当たって、新技術の導入はインフラメンテナンスを高度化する重要な取組であり、引き続き導入を促進してまいりたい。
4 おわりに
今後、提言を踏まえ、インフラメンテナンスに関わるあらゆる主体と連携して、10年前の笹子トンネル天井板崩落事故を受けて関係者が共有した危機感と緊張感を保ちながら、具体的かつ計画的に取組を展開していかなければならない。国土交通省としても決意を新たに、地方公共団体など関係者と連携して取組を進めていくことで、予防保全型インフラメンテナンスへの本格転換を図ってまいりたい。
■参考文献
◇社会資本メンテナンス戦略小委員会ホームページ(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s201_menntenannsu01.html)