2 インフラメンテナンスの現況と見通し
(1)地方公共団体の抱える諸課題
我が国のインフラの現況としては、高度成長期以降に整備された道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾等について、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加している状況にある。
そのような中で多くのインフラを維持管理している地方公共団体、とりわけ、小規模な市町村などに目を向けると、これまでの取組で施設の点検が一巡し、施設の現況が把握できた一方で、土木職員の減少や十分な予算確保が困難といった課題が存在する。例えば、市町村における土木部門の職員数の減少割合は約14%であり、市町村全体の職員数の減少割合よりも大きく、技術系職員が5人以下の市町村が全体の半分を占めている状況である(図2)。さらに、市町村の土木費は、ピーク時の1993年の約11.5兆円から、2011年度までの間で約半分の6兆円に減少しており、その後もほぼ横ばいの状況が続いている(図3)。このような中で、措置が必要な施設数に対して、講ずべき補修・修繕が追い付いておらず、依然として事後保全段階にある施設が多数存在している(表)。
出典:地方公共団体定員管理調査結果より国土交通省作成
図2 市町村における職員数の現状
図3 市町村の土木費の推移
表 各分野における早期又は緊急に対策が必要な施設数