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議会REPORT

2023.01.12 一般質問

めざすべき地方議会のあるべき姿についての一考察 ~住民から「近くて遠い地方議会」から「近くて近い地方議会」へ~

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福津市議会議長 江上隆行

 私の約16年にわたる議会活動において、議会運営委員会委員8年、そのうち同委員会委員長を4年務め、現在、議長を務めている。  
 この経験を通じて、議会運営等に関し、私が問題意識として持ち続けている所懐の一端を、若干の事例を紹介しながら、述べたいと思う。議員各位の議会活動の参考になれば望外の喜びである。

議会と行政は「車の両輪」であろうか

 「議会と行政は車の両輪」というフレーズを耳にすることがある。この意味は、車が前に進むためには、両輪が同じ方向に動かないと進まないので、議会と行政が「同じ方向」に進むことがベストなあり方だという例えであろう。  
 これは一面、正しいように思われる。なぜなら、議決機関と執行機関の両者が目的とするところは、「住民福祉の向上」にあるからである。  
 しかし、「耳触りがよい」このフレーズは、両者が仲よくしていくことが、問題なくスムーズに行政運営ができるかのような印象を与えてしまうおそれがある。  
 果たして「議会と行政は車の両輪」であろうか。このことを考える上で、地方議会の役割を再確認しなければならない。  
 地方の政治制度において執行機関の首長は、住民の直接選挙で選ばれる。同じく、議決機関の議員も住民の直接選挙で選ばれる。これが、二元代表制といわれるものである。この制度の大きな特徴は、執行機関の首長、議決機関の議会がお互いに対等・並列に立ち、チェック・アンド・バランス、抑制・均衡を図りながら、民主的な関係を構築していくことにある。  
 そして、議員は、行政をチェックし、政策を提言し、条例を制定することが重要な役割である。つまり、議会が首長の独善・独走を防ぐ「ブレーキ」となり、また、住民の福祉をより一層、向上させる「アクセル」となって機能することが求められている。  
 議会と行政は、よい意味での対立関係に立つ「機関対立型システム」であり、「機関対立主義」、「機関競争主義」といわれる所以(ゆえん)である。  
 したがって、両者が常に「車の両輪」の関係でいると、健全な緊張関係が保てなくなり、特に、議会に関していえば、行政に対するチェック機能が低下してしまい、議会が行政の単なる「追認機関」に堕してしまうおそれが出てくる。現実、そのような議会が存在することは否めない。  
 議員は、市民目線を忘れてはいけないが、常に研さんを重ね、見識を高め、求められる役割を通じて責任を果たすことが、当該自治体発展の大きなカギを握っている。

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