2 議場の外でのコンプライアンス違反事例
〈事例2〉
A市の市議会議員Bは、地域のイベントに参加した際に、同イベントに参加していた住民Cと肩を組んでいるところをイベントスタッフDに写真撮影してもらいました。Dからメールで写真を送ってもらったB議員は、この写真をSNSに投稿しました。 このB議員の行動に問題はないでしょうか。 |
住民に対して最大限の情報公開に努めて透明性を確保することは、議会に対する住民の信頼を得ることにつながります。議会の活動を公にしていくという取組みと同時に個々の議員の活動を住民に知ってもらうために、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等を活用されている方もいらっしゃるかと思います。
SNS等による情報発信についても、名誉毀損や侮辱に当たらないように、個人情報や法人等情報を発信してしまわないように、十分注意する必要があります。SNS等は、写真や動画を簡単に発信できるという特徴がありますが、写真や動画には撮影者の著作権がある場合があります。また、写真や動画に写る方には肖像権やプライバシー権があります。これらの権利を侵害しないよう十分に注意する必要があります。
〈事例2〉では、写真を撮影したDに無断で、Dが撮影した写真をSNSに投稿しています。写真に著作権が発生していれば、Dの著作権を侵害することになります。
また、Cは写真に写ることについては同意していたと思われますが、その写真をSNSに投稿することまでは同意していません。もしかしたらCは、そのイベントに参加していたことを他人に知られたくないと思っているかもしれません。Cに無断でCが写った写真をSNSに投稿することは、Cのプライバシー権を侵害することになります。写真をSNSに投稿するのであれば、CとDから承諾を得る必要があります。
インターネット上に一度出てしまった情報を完全に消すことはできません。ひとたび発信されれば、後で他人の権利侵害に気づいても取り返しがつきません。SNS等を活用する際には慎重に行う必要があります。
議場と議場の外という二つの場面におけるコンプライアンス違反事例を紹介しました。より具体的にコンプライアンスを意識していただくための参考となれば幸いです。