4 ファンクラブの課題とまとめ
(1)ファンクラブの課題
ファンクラブは、上記のとおり個人登録会員が3,000人を超え、移住セミナーへの参加やふるさと納税、SNSを活用した情報発信など、全国各地の会員が多様な形でつながっています。一方で、登録したまま特に活動が見られず、せっかく登録してもそのメリットを生かすことができていない会員も一定数存在する、いわゆる「二極化」が生じています。
これまでは、比較的ハードルの低い、SNS等を通じた情報発信という側面で「緩やかにつながりを持った関係人口」を創出・拡大してきました。しかし、本市が描く関係人口の理想像とは、最終的に人と人がリアルにつながり、一緒に課題を解決していく「関与の度合いが高い関係人口(活動人口)」であるべきと考えています。今後は、本市の課題を解決すべく「活動」していただける関与の度合いが高い関係人口をいかにして拡大するか、そのアプローチの方法を検討していかなければなりません。
(2)まとめ
私たちが関係人口創出に取り組む理由は、人口減少と少子高齢化対策に寄与すると考えるからです。これまでは、人口減少と少子高齢化対策の「一丁目一番地」として、移住施策を中心としたプロモーションに取り組んできました。しかし、日本国内全体で生じているこの人口減少社会においては、定住人口の獲得だけを前提にしていては、いわゆる「ゼロサムゲーム」、「マイナスサムゲーム」にしかならず、移住施策も自治体間で過熱化していきます。今後は、定住人口をある程度維持していくことは重要ですが、現行水準の人口維持はほぼ不可能であることを理解し、一定の人口減少は許容した上でどのような自治体経営を行っていくべきか、という考えにシフトしなければならないと思います。
そのような中で、関係人口という考え方は「プラスサムゲーム」になる可能性もあると考えており、例えば、東京に引っ越した西条市出身の方が、毎年西条市にふるさと納税してくれれば、それはすなわち関係人口であるといえます。そうした関係人口は、定住人口という意味では人口1人増とはなりませんが、西条市の人口が例えば0.1人分増えたという捉え方もできるといえます。
この先、人口減少・少子高齢化が急速に進展する中でも、本市の経済規模を可能な限り維持しつつ、誰もが住みやすいと感じることができるまちづくりのため、本市が全国に誇る移住・定住や関係人口創出に関する施策を積極的に情報発信し、さらに「都市部の方から選ばれるまち」を目指してまいります。また、そうすることで、移住者や関係人口を含めた多様な人材と市民の交流促進が図られ、新たな発想による様々な取組みが次々と展開される「チャレンジを応援するまちづくり」を進めてまいります。