西条市経営戦略部シティプロモーション推進課専門員兼シティプロモーション推進係長 田邊智将
1 西条市と関係人口の変遷
(1)西条市の課題
関係人口とは「長期的な『定住人口』や短期的な『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々」と定義されています。本市のように大学などの高等教育機関が立地していない地方都市では、人口減少・少子高齢化に加えて、若年層の転出とUターン率の低下により、地域づくりの担い手不足が深刻化しています。こうした課題に対し、本市では、早くから市外に存在する「関係人口」の存在に着目してきました。
(2)西条うちぬき倶楽部
本市では、平成26年度より本市に何らかのルーツを有する市外在住の方に会員登録いただき、東京及び大阪で開催する交流会を通じてネットワークを構築する「西条うちぬき倶楽部」(以下「うちぬき倶楽部」という)を開設しました。交流会を通じて、参加者の交流と本市の各種施策に対する協力依頼などを行い、市外在住者が900人以上登録する組織となりました。
しかしながら、このうちぬき倶楽部は、会員の年齢層も高く、市からの一方的な情報発信にとどまってしまい、会員相互の交流や西条市民とのつながる場が持てないという課題がありました。
(3)LOVE SAIJOファンクラブ
そこで既存の「うちぬき倶楽部」に、新たに西条市民と民間企業や各種団体を会員対象として加え、SNS等を活用して市外在住の会員と西条市民が情報交流を図ることができる「LOVE SAIJOファンクラブ」(以下「ファンクラブ」という)として平成30年度に再構築しました。このファンクラブは、市外の人には西条市を知ってもらって好きになってほしい、市内の人にはまちの魅力を再発見してもっと好きになってほしいというコンセプトを掲げています。
私たちはこのような「西条市が好き」という方々を結ぶパイプ役として、会員同士のつながりをつくる活動を行っています。最初は全体的に層が薄かった若年層を新たな会員として獲得することを目的に、SNS等を活用した情報発信に加え、首都圏や関西圏で開催される各種フェア等において積極的なPR活動を展開したほか、特産品が当たるキャンペーンも実施しました。結果、再構築後には多くの方に入会いただき、令和4年3月末時点で、個人会員が3,319人、団体会員は183の企業・団体に入会いただいています。
このファンクラブは「西条市が好き」という方なら、どなたでも無料で入会することができます。入会していただくと、ファンクラブ会員として各企業や団体の活動をSNSや会員限定のメールマガジンで広くPRできる仕組みとなっており、今では企業・団体の方から記事を掲載してほしいと依頼を受けることも多くなりました。
「西条市が好き」でつながる「LOVE SAIJOファンクラブ」