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特集 関係人口を創出する

2022.06.10 まちづくり・地域づくり

良い関係人口と悪い関係人口 ~活動人口、関心人口、問題人口、弊害人口という関係人口の存在~

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関東学院大学法学部准教授/社会構想大学院大学特任教授 牧瀬 稔

 本稿は、地方自治体が注目する関係人口を考察の対象とします。関係人口の定義、推計値など基本的な情報を提供し、その後、持論である関係人口の4類型に加え、関係人口の一類型である「活動人口」に価値を見いだし、今後の展望を記しています。
 本稿は関係人口の基礎的情報を周知するとともに、読者に対する問題提起も含んでいます。

1 関係人口の定義

 近年、地方創生の文脈で注目される概念に「関係人口」があります。総務省の「これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会報告書(概要)」では、関係人口とは「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」という趣旨で明記されています。しばしば関係人口は「交流人口以上定住人口未満」といわれます。
 同報告書(概要)は、関係人口に着目する理由として「地方圏は、人口減少・高齢化により地域づくりの担い手不足という課題に直面しているところ、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、『関係人口』と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待できる」と記しています。関係人口の一つの役割に、地域づくりの担い手となることが期待されていることが分かります。
 ちなみに、以前から自治体の現場では「応援人口」という言葉が使われていました。応援人口とは「当該地域や自治体を応援したい人口」のことです。
 また、国土交通省には協働人口という概念があります(「新たな『国土のグランドデザイン』」)。協働人口とは「地域や自治体の多様な主体と一緒に地域づくりをする人口」です。応援人口も協働人口も「当該自治体のファン」と捉えることができます。これらの概念は、関係人口に類似しているといえます。

2 注目を集める関係人口

 図1は、朝日新聞、産経新聞、毎日新聞、読売新聞の各紙における「関係人口」に関する記事数の推移です。右肩上がりで増加してきたことが理解できます。
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図1 主要4紙における1年間に掲載された「関係人口」の記事数の推移

 実際、今日多くの自治体が関係人口の獲得や創出に取り組んでいます。一般社団法人地方行財政調査会は、「都市の関係人口に関する施策の実施状況について」を公表しています(2019年12月1日現在。全815市を対象に実施し、632市が回答(回収率77.5%))。
 同調査によると、関係人口に関する取組みを「実施している」と回答したのは262市、「実施し、かつ別の事業を検討している」と回答したのは17市で、合わせて279市が「実施」しています。加えて49市が「実施に向け検討している」と回答しています。また、「その他」と回答した81市についてその内容を見ると、「関係人口創出に関する他自治体の事例を調査・研究している段階」など今後の実施を目指す記述が多くありました。一方で、223市は「実施も検討もしていない」という回答でした。
 同調査会は、2017年にも同様のアンケート調査を実施しています(回収率81.6%)。2017年調査では「実施している」が189市、「実施し、かつ別の事業を検討している」が13市であり、合わせて202市が実施していると回答していました。
 2019年の調査結果と比較すると、2年間で関係人口に関する施策を実施している自治体が77市も増加したことになります(回収率が異なるため一概にはいえませんが、増加傾向にあることは間違いありません)。
 これらの調査結果から、多くの自治体が関係人口に注目しており、今後は拡充していくことが予測できます。

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