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2022.04.11 政務活動費

議員報酬をめぐる「新しい原価方式」とは!(上) ──『議員報酬・政務活動費の充実に向けた論点と手続き』刊行に寄せて──

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原価方式において首長給料と比較する意義  

 原価⽅式は、議員の活動量と⾸⻑の活動量を⽐較し、その割合を⾸⻑の給料に乗じることによって暫定的ではあるが確定する。第32次地制調答申は、議員のなり手不足の打開の 6 視点からではあるが、議員報酬額を算出する基準を提起している。「現在の議員報酬の水準が議会における人材確保の観点から適正な水準を下回ると考えられる場合には、住⺠の理解を得ながら、地域の実情や議員の活動の状況、物価の動向等に応じ、議員報酬の水準のあり⽅を検討することが考えられる」というものである。これに面積を加えてもよい。  
 地域の実情、物価の動向は⾸⻑の給料に、面積は議員活動と連動する。これらの要因は、原価⽅式と矛盾するわけではないし、原価⽅式はそれらを総合的に組み込んでいる。
 全国市議会議長会が示した、例えば「課長制を施行している市にあっては、課長給に相当する額をもって議員の報酬基準額とすること」は、議員報酬を職員給与に身分として連動させるわけではなく、活動量の共通性を念頭に置いたものであろう(都道府県議会議員の報酬基準として自治省が知事に出した内かんも同様)。これも原価方式の考え方からは理解できる。ただし、議員報酬を選挙で選ばれていない行政職員と連動させることには違和感がある。  
 なお、財政危機の観点から議員報酬の増額を躊躇(ちゅうちょ)したり削減したりする議会もある。財政状況を考慮することは必要であるが、とりたてて、議員報酬(及び議員定数等)だけを標的にすることには違和感がある。⾸⻑・行政職員の給与、様々な事務事業等を全体的に考察する中で議員報酬を含めた財政への影響を考察する必要がある。議員報酬の増額が議会力アップに連動し、それが住⺠⾃治を進めるとともに、行政改革を強力に進めることにも効果があることを改めて確認したい。

(1)『議員報酬・政務活動費の充実に向けた論点と手続き~住民福祉の向上を実現する町村議会のための条件整備~』(全国町村議会議⻑会、令和4年2月)(http://www.nactva.gr.jp/html/research/pdf/remuneration_01_2.pdf)。
(2)町村議会議員の議員報酬等のあり方検討委員会(全国町村議会議長会)『町村議会議員の議員報酬等のあり⽅ 最終報告』(平成31年3月)(http://www.nactva.gr.jp/html/research/pdf/remuneration_01_2.pdf)。
(3)平成31年報告書では、数値化に当たって議案の精読や住民からの意見聴取など、「表(おもて)に現れない活動量」を2分の1とするなどの手法を用いたが、令和4年報告書では活動量すべてを算出している(表に現している)。

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