3 令和3(2021)年度介護報酬改定の概要
令和3(2021)年度介護報酬改定では、長期化する新型コロナウイルス感染症パンデミックや大規模災害発生を踏まえ、「感染症や災害への対応力強化」を図るとともに、2025年問題に向け、「地域包括ケアシステムの推進」、「自立支援・重症化防止の取組の推進」、「介護人材の確保・介護現場の革新」、「制度の安定性・持続可能性の確保」や「リスクマネジメントの強化」を図る観点から以下の見直しが行われ、改定率合計は+0.7%となっています。
(1)感染症や災害への対応力強化
感染症や災害が発生した場合の日頃からの備えと業務継続に向けた取組として、感染症対策の強化、業務継続に向けた取組の強化、災害への地域と連携した対応の強化、通所介護等の事業所規模別の報酬等に関する対応が図られました。
(2)地域包括ケアシステムの推進
利用者の住み慣れた地域において、介護サービス事業者が利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスを切れ目なく提供する体制を構築するため、認知症への対応力の向上、看取りへの対応の充実、医療と介護の連携の推進等の取組の推進が図られました。
(3)自立支援・重症化防止の取組の推進
介護保険制度の目的に沿って、介護サービス事業者が、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスを提供する体制を構築するため、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の連携・強化、介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進、寝たきり防止等重度化防止の取組の推進が図られました。
(4)介護人材の確保・介護現場の革新
介護サービス事業者が、喫緊・重要課題である介護人材の確保や介護現場の革新に対応できる体制を構築するため、介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進、テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和を通じた業務効率化・業務負担軽減の推進、文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進が図られました。
(5)介護保険制度の安定性・持続可能性の確保
介護サービス事業者が、必要な介護サービスを確保しつつ、適正化・重点化を図るため、評価の適正化・重点化、報酬体系の簡素化が図られました。
(6)その他の事項
その他の事項として、介護保険施設におけるリスクマネジメントの強化、高齢者虐待防止の推進、基準費用額(食費)・基本報酬の見直しが行われました。