(3)介護報酬の仕組み
厚生労働省社会保障審議会によると、「①介護報酬とは、事業者が利用者(要介護者又は要支援者)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に対して支払われる報酬のことをいう。②介護報酬は、介護サービスの種類ごとに、サービス内容又は要介護度、事業所・施設の所在地等に応じた平均的な費用を勘案して決定することとされている。③介護報酬の基準額は、介護保険法上、厚生労働大臣が審議会(介護給付費分科会)の意見を聴いて定めることとされている。」と規定されています。
(4)介護報酬の構成
介護報酬は、包括評価部分(地域差勘案)と加算・減算部分で構成されています。
① 訪問系サービスの場合
訪問系サービスの包括評価部分は、訪問系サービスに係る費用として、訪問介護員、理学療法士、作業療法士等の人件費、事務所運営の基本的な管理費等として、事務担当人件費等のほか、車両等設備の減価償却費等が算定されています。
また、加算・減算部分は、離島等の長時間移動等を要する場合の加算、早朝・夜間等の加算等が算定されています。
② 通所系サービスの場合
通所系サービスの包括評価部分は、通所系サービスに係る費用として、介護職員、看護職員、生活相談員等の人件費、施設運営の基本的な管理費等として、事務担当人件費、消耗品費、備品費、その他事務管理経費等のほか、施設・設備整備の設置者負担分の償還費用相当が要支援・要介護度に応じて算定されています。
また、加算・減算部分は、要支援では、運動器機能向上加算や事務所評価加算等が加算されます。また、要介護では、入浴加算や機能訓練体制加算等が算定されています。
③ 施設系サービスの場合
施設系サービスの包括評価部分は、施設系サービスに係る経費として、介護職員、看護職員、生活相談員、介護支援専門員等の人件費、施設運営の基本的な管理費等として、管理者・事務担当人件費、消耗品費、備品費、その他事務管理経費等が要介護度に応じて算定されています。
また、加算・減算部分は、特別養護老人ホームの場合、栄養マネジメント加算、経口移行加算、在宅復帰支援機能加算等が算定されています。
(5)介護サービスと医療サービスの違い
要介護者は必要性に応じて、介護保険による介護サービスと医療保険による医療サービスを受けることができます。
すなわち、要介護者が生活を維持する上で介護サービスや医療サービスが必要になった場合は介護保険からサービス給付が優先され、急性疾患等による治療が必要になった場合のみ医療保険からサービス給付される仕組みとなっています。
例えば、リハビリテーションについては、要介護者の歩行困難等の状態が悪化し、介護保険施設等での対応が困難になった場合は、医療保険による集中期・回復期リハビリテーションが行われます。そして、回復後には介護保険による維持期リハビリテーションが行われます。