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特集 ポストコロナ時代の地方議会

2020.08.11 議会運営

【イベントレポート】コロナ禍持久戦に備えよ

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 2020年7月25日(土曜)、「市民と議員の条例づくり交流会議2020【夏のオンライン】コロナ禍持久戦に備えよ」が、オンライン会議システムZoom上で開催されました。全国津々浦々から80名超の参加があり、この危機をどう乗り越えていくのかということへの、議会側の関心の高さがうかがえました。
 新型コロナウィルスの全世界的な流行という緊急事態。今後流行が長期にわたって続いていく、さらに本格化するであろう時代に、持久戦をどう戦い抜くかを主なテーマとして、セミナー前半には調査報告や基調提起、そして後半では各議会の取り組みが報告されました。本レポートは前半部を中心にお届けします。

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コロナ禍対応には、長い視野をもって取り組むほかない

 まず、開会にあたって、廣瀬克哉・自治体議会改革フォーラム呼びかけ人代表からのお話がありました。
 「今、再び感染が広がっている。GoToキャンペーンが東京を除く地域で始まっているものの、緊張感が再び高まっているこの状況をどうとらえるべきだろうか」、「このコロナ禍との付き合い方については、何とか頑張って短期間を乗り切ればいいというものではないということが、どうやら分かってきた。この先、長期にわたって賢く付き合っていくしかないもののようである。今後、続いていくであろう持久戦に、油断せず、しかし過度に恐れず、工夫しながら取り組んでいくことが必要」、「緊急事態宣言は5月末までに解除されたが、課題は全く解決していない。持続可能性をもってこの課題に取り組んでいくということが自治体に問われている。そして政策決定の責務を担っている議会にもそれが求められている。長い視野をもって取り組んでいくことが必要である」などと指摘しました。

コロナ禍において議会はどう動いたか

 続いて、コロナ禍における各議会の対応状況について、本イベント参加者に対する事前調査の結果解説が、首都大学東京准教授の長野基先生よりありました。設問としては、コロナ禍を受けた議会の開催状況や傍聴等の制限、一般質問の実施状況、議会としてどう対応したか、BCPの策定状況などを問うものでした。神奈川地方自治研究センターにおいて、2020年7月から県内議会の実態調査を実施するとのことで、今回の設問は、そこでの調査項目をベースとしたとのことです。
 まず、コロナ禍において、議会⽇程の変更などを⾏ったかという質問に対して、2020年の3⽉議会では「特に変更はしていない」が56.7%、「⽇程を短縮するなどの変更をした」が30%だったところ、2020年の6⽉議会では「特に変更はしていない」 は43.3%と減り、「⽇程を短縮するなどの変更をした」が40%となりました。感染拡大状況に伴う地域差も大きいですが、3月時点よりも6月において、コロナ禍の影響が議会にも出てきたことが分かります。

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 また、⼀般質問については、3⽉議会では「前年と同じ⽅式で⼀般質問を実施した(⼈数制限・時間短縮は⾏っていない)」というところが60%、「議会として「⼀般質問の取りやめ」を決定した(「6⽉議会への延期」を含む)」13.3%、「議会運営員会または会派代表者会議で「自主的な取り下げ」あるいは「自粛」を申し合わせた(申し合わせに同意しない議員だけが一般質問を行った)」13.3%だったところ、6月議会においては「前年と同じ方式で一般質問を実施した(人数制限・時間短縮は行っていない)」は34.5%に減り、「質問時間を2019年中より短縮して行った」31%、「議会運営員会または会派代表者会議で「自主的な取り下げ」あるいは「自粛」を申し合わせた(申し合わせに同意しない議員だけが一般質問を行った)」13.8%と変化しました。
 
6月議会での本会議の傍聴についても、「議場傍聴席への入場制限は行わなかった(2019年中と同じく傍聴可能とした)」との回答が36.7%だった一方で、「感染防止の観点で議場傍聴席への入場者数制限を行った」20%、「感染防止の観点から傍聴自粛を住民に呼びかけた」33.3%と、住民の傍聴についても制限がかかったというのが5割を超える回答でした。

議会の使命は果たせたのか

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、コロナ対応関連の専決処分の報告はあったかという設問に対して、「なかった」は24.1%、「あった」は75.9%と、緊急事態下で専決処分が増えた状況が見て取れます。 
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 他方、コロナ対応に関連して、新たに委員会・協議会等を設置したかという設問に対しては、「議会基本条例や災害対策要綱に基づく既存の災害対策会議等で対応した」43.3%、「新たに新型コロナに対応する委員会・協議会を設置した」10%、「委員会条例に基づく既存の常任委員会・議会運営委員会等で対応した」16.7%と、議会としてコロナ禍に何等かの合議体として対応したところが7割ある一方で、議会として「特に対応していない」も3割あった現状が見えてきます。
 今回の新型コロナウイルス感染症への対応等について、議会として行政に対して要望書、意見書等の提出はしたかという設問に対しては、「提出した」53.6%、「提出していない」46.4%と、半数の議会で何等かのまとまった働きかけは行ったようです。
 さらに、東日本大震災や豪雨災害などを受け、少しずつ議会においてBCP(業務継続計画)の策定が広がってきていますが、「2019年12月31日以前に定めた」が27.6%、「定めていない」が69%と現状は未策定のところが多いようです。
 また、千葉県取手市議会のデモテック宣言福島県磐梯町議会のオンライン議会の取り組みなど、感染症流行が拡大するなかで、相対・三密を避けつつも、合議体としての議会を存続させるための方策として、議会へのオンライン導入が急速に注目を集めています。
 2020年1月1日~6月30日の間での議会における条例・規則に基づく会議でのオンラインシステムの活用状況を問う設問に対しては、オンライン会議を「開催した」のは10.7%、「開催していない」89.3%と、この間の活用は少なったようです。またオンライン会議の開催のための会議規則等の改正にいたっては、「改正していない」が100%という結果でした。

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