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2020.04.10 政策研究

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吹奏楽でみんなを元気に

  最大のピンチは何か? やはり、連日空いているホールである。通常なら80 〜90%の使用率のホールも、今なら「いつでも」、「何日でも」使える状態にある。このピンチ、空いているホールを使って何かできないか? チャンスに転換できないかと考え始めた。
  ホールを使うといっても、何かイベントを行うのか? 市民に使ってもらう方法はないのか? 音楽、映画、バレエ、落語、演劇……文化芸術といっても幅広い。この中で何を選択するか? それも「3密」を招かない状態で。
  何を選択するかに当たり、方法はいろいろ考えられたが、ホールの推しは何であるかという原点に立ち返った。そう、「吹奏楽」である。空きホールで吹奏楽を使って何かをやろうと思いついたのである。
  こうしたときに、ホールの柱があると取組みの方向が決まりやすい。よく「うちのホールは、市民の多様なニーズに応え、様々な文化芸術を何でもやっているホールです」というところがあるが、そういうところでは、一つを選ぶことには苦労するだろう。
  「『吹奏楽のまち こだいら』で、空いているホールを使ってみんなを元気づける」。このピンチを、「吹奏楽」を使ってチャンスに変えるための大きな方向性が固まってきたのである。
  

全日本吹奏楽コンクールの課題曲を届ける

  「吹奏楽」とテーマが決まったので、次はターゲットを絞ることにした。  
 ルネこだいらでは、毎年3月下旬に「吹奏楽フェスティバル」を開催している。市内の中学校・高等学校吹奏楽部の定期演奏会を連日開催するもので、昨年は9校が参加し、来場者は約6,800人と年々来場者も増え、市民に定着している事業である。今年も3月25日から31日までの開催を予定していたが、学校の休校、部活動の休止で、残念ながら中止となった。
  吹奏楽部員は、全体で練習することができず、各自が自宅で練習する日々が続いていた。目標としてきた定期演奏会が中止となり、モチベーションも上がらず、新たな目標を定められずに練習に身が入らないとも聞こえてきた。
  私たちスタッフ同様に落ち込んでいる吹奏楽部員を元気づけられないか? ターゲットを、中学・高校の吹奏楽部員とすることにした。
  下を向きがちな生徒たちにしっかり前を向いてもらうようにするにはどうすればよいか? 目標をしっかり定めてもらうこと、自分事となるような目標を持ってもらうことで少しでも気持ちを前に進めてもらいたいと考えた。
  そこで、来年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲を吹奏楽部員に届けられれば、①目標をしっかり意識してもらうこと、②コンクールが行われる夏に向かって視点を未来に持ってもらうこと、③プロの演奏を聴いてモチベーションを上げてもらうこと、などができ、気持ちを新たに練習に取り組んでもらうことができるのではないか? こうして、徐々にではあるがコンセプトの大枠(まだ妄想段階ではある)が固まっていった。

協力者の存在

  コンセプトの大枠は決まったが、当財団だけでは実現できない。私たちが持っているものは、空いているホールだけである。
  このほかに、演奏する吹奏楽団、演奏を届ける媒体、これらにかかる費用。越えなければならないハードルがたくさんあった。そこで、協力を求めることにしたのである。
  はじめに、演奏していただける楽団であるが、前述の吹奏楽事業で、演奏会や吹奏楽クリニックでお世話になり、ルネこだいらにもなじみのある東京吹奏楽団に、この妄想を3 月9日に率直に話してみた。すると、とてもよい反応をいただいたのである。楽団としても、3月中の演奏会は全てキャンセルで演奏する場が全くない。全員が集まる機会も今月は予定がないということであった。また、同時期に、DVD制作会社より、予定していたホールが閉館となり課題曲DVDの制作が頓挫していること、これから使用できるホールと楽団を探していると打診があったという情報をいただいた。妄想の種ではあるが、一度、話し合ってみましょうと、3月10日に楽団、DVD制作会社と打合せをした。吹奏楽部員に課題曲を届け、元気づけたいというコンセプトに賛同いただいた。こうして、空いているホールの活用を考えている財団、演奏する機会を得たい楽団、DVD制作会場を探している制作会社、それぞれの不足分を三者の協力で補えるという枠組みが見えてきた。
  では、どうやって吹奏楽部員に曲を届けるか? 最初に思いついたのが、地元のケーブルテレビである。日頃から連携をしていた人にこの取組みを話すと、ケーブルテレビとしても、様々なイベントが中止となってコンテンツが不足していること、暗い話題が多い中、明るい話題に協力できることは局としてのメリットがあることなどから、前向きに検討していただけることになった。そして、筆者はケーブルテレビでの放送を考えていたが、局から提案があったのは、スマホアプリによる配信である。これなら、ケーブルテレビと契約していなくても、また、いつでもどこでも、日本全国に届けられる。局の協力により、無料配信(期間限定)できることになった。
  

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