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特集 住民のための議会とは何か

2019.01.15 政策研究

市民フリースピーチ制度で自治を再生 ─犬山市議会の取組み─

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議場は民主主義の原点

 ここで犬山市議会の「市民フリースピーチ制度」の仕組みを簡単に説明したい。この制度は、一般市民が本議場で全議員に対して市政全般に関する意見を開陳できるというもので、各定例会で1回(1日)実施する。発言時間は1人5分以内で、犬山市内に在住・在学・在勤のいずれかに該当する人なら誰でもOK。といっても、定例会開会前に発言項目を記載した申込書を議会事務局に提出する必要がある。また、国、県、他市町村に関してなど犬山市政に関係のないことや個人のプライバシーに関する発言などは認められない。発言者は7人以内で、申込者が7人を超えた場合は抽選となる。ちなみに初回の2018年2月28日は10人が応募し、抽選で7人に絞られた。2回目の6月4日は6人が応募し、全員が本会議場の演壇に立った。
 一方、議会側はフリースピーチで市民から示された意見について、定例議会中に全員協議会などで協議した上で行政への申入れといったアクションをとることになっている。そして、その結果を市民に文書やホームページで公表しなければならない。聞きっぱなしにしないための措置である。フリースピーチでの発言内容に議員が初めて知って驚くケースもあり、すでに市政の改善につながった事例も生まれている。
 その代表的な事例が、2回目のフリースピーチで指摘された「障害者の災害時の支援について」である。犬山市が作成する災害時の避難行動要支援者名簿に障害者が載るには、家族以外の避難支援者2人が必要という条件が設定されていた。目が見えないという障害を持つ発言者は、この条件が足かせとなって避難行動要支援者名簿への登録申請が進んでいないという事実を明かし、条件の見直しを求めたのである。これまで市の窓口に何度もかけあったものの門前払いされたという。
 この発言で実態を知った議会側はフリースピーチ終了後、全員協議会を開催して対応を協議した。そして、7月23日に名簿登録条件の見直し・改善を求める申入書を市長に提出した。議会としての申入れは、その重みが違う。市は即座に「避難支援者1人でも登録可能」に方針転換したのである。

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