【補足】
報告書の読み方として難しいのは、解読する際のキーワードである「不可分のパッケージ」という用語が、報告書の最終頁(22頁)に1回しか出てこないことである。その上、その後すぐに「拡張性のある制度設計」、「より幅広い適用を認めることも考えられる」という、そのパッケージを覆す論点も組み込まれているからだ。ぜひ、報告書を注意深く読んでいただきたい。
【附記(再録)】
筆者は、総務省「町村議会のあり方に関する研究会」構成員として報告書作成にかかわる機会を得た。構成員や事務局との長時間の真摯で熱き「刺激的な」議論が行われた。各構成員の「何とかしたい」という熱き思いも感じることができた。報告書が公開されると大きな反響を呼んだ。今後の議会制度、住民自治を考えるに当たっての重要な素材となる。議論が巻き起こると思われるし、そうなってほしい。筆者は、研究会の中でいくつかの論点を提案したが、残念ながら基本的な事項は報告書に盛り込まれていない。報告書が公開された今、筆者の基本的な考え方を公にする。なお、研究会の議論の詳細が公開されているわけではない。本稿を執筆するに当たって、それらを活用せず、報告書そのものに即して議論している。
【追記】
総務省自治行政局行政課長から「地方議会に関する地方自治法の解釈等について」という通知(技術的な助言)が発出されている(2018年4月25日付)。現場からの提案に対する対応として肯定的に評価できる。「解釈等についての問い合わせ等がありましたので、参考のため」のものであり、地方自治法92条の2(関係私企業からの隔離)、及び123条(会議録)の解釈を明確にしたものである。「問い合わせ」がどこからかの明示はないが、大川村・高知県「大川村議会維持に向けた提言について」(2017年12月18日)の3つの提言(前回参照)のうち、「地方公共団体から補助金の交付又は指定管理者の指定を受けることが、地方議会議員に禁止される『請負』に該当するかどうか、通知等により明確にすること」を意識した対応だと思われる。
(1) 江藤俊昭「魅力ある議会の創造こそが『解消』の正攻法──なり手不足問題の解消の道を探る(下)」『地方議会人』2017年11月号。江藤俊昭「『自治体議会学』のススメ」96回~107回『ガバナンス』2017年2月~2018年2月、参照。これらでは、本稿で詳述していない「女性議員の増加」、「半議員半X」や「恒常的な夜間・休日議会」の積極的活用についても検討している。
(2) 町村議会議員の議員報酬等のあり方検討委員会 (全国町村議会議長会)「町村議会議員の議員報酬等のあり方検討委員会 中間報告」2018年3月。
(3) 筆者は、同シンポジウムで基調講演を行っている。そこでの議論の一部を本稿で活用させていただいている。なお、この3回分のシンポジウムの充実した報告書が作成されている。
(4) 戸水裕也「議員活動からみた議員報酬の検討~『十勝標準』の試算」『議員NAVI』2017年8月25日号。
(5) 浦幌町議会「第2次議会の活性化 議員のなり手不足の検証(検証報告書)」2017年3月。