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2018.05.10 議会改革

地方議会のゆくえ(下) ──総務省「町村議会のあり方に関する研究会 報告書」を読む──

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6 地方議会のゆくえ──さらなる一歩:多様な議会の創造

(1)なり手不足解消のもう一歩:地方議会間連携と法律改正の提言
① 地方議会間連携によるなり手不足解消の模索
 なり手不足は、地方議会に共通する課題である。そこで、地方議会がそれぞれ研究を進めるとともに、共通の課題を有する「仲間」として、ともに検討を開始することも必要である。長野県の有志の町村議会は、まさにこの共通テーマについて継続的に一堂に会して議論を行っている(3)。第1回町村議会改革シンポジウム(2016年7月8日)では、12町村議会が参加し、なり手不足や議員報酬、定数等を議論した。第2回(2017年1月17日)では、政策提言のあり方となり手不足を集中的に議論した(18議会)。第3回(同年7月7日)では、第2回と同じ2つのテーマで議論を行った(17議会)。そして、第4回が本年5月7日に開催された。
 このように、自主的で、しかも継続的な取組みが広がることを期待する。同時に、現場を踏まえたこれらの蓄積からまとまった提案がなされることも期待される。
 なお、議員報酬を具体的に算定するために独自の浦幌方式をあみ出した北海道浦幌町が属する十勝町村議会議長会は、報酬の「十勝標準」を提案している(4)。「標準」はあくまで、報酬額を考える上での素材であることを考慮していただきたい。とはいえ、こうした提案を議長会が行うこと、さらに後述するような国への意見書・要望書の提出を行うなど、「闘う知事会」ならぬ「闘う議会」、「闘う議長会」が生まれている。

② 法制度改革の提言
 これまで、なり手不足解消の模索について確認してきたが、それらは、いわば現行法体系の下での模索である。しかし、「なれない」要因を考慮すれば、現行法体系自体を改革する必要もある。そこで、現場を踏まえながら、国に対して意見書・要望書を提出している議会、議長会がある。
 浦幌町議会は、なり手不足に危機感を抱き、議会の活性化を進めるために、地方議会の役割(議員定数・報酬)、監視・評価機能の強化、調査・研修・政策立案機能の充実、議会組織・議会運営のあり方、町民に身近な開かれた町民参加の議会、という5つの視点から検討している。このうち議会の役割において、なり手不足を位置付けている(前回参照)(5)。すでに指摘した議員報酬(増額)をめぐる浦幌方式は、議会改革の一環として提起されたものである。
 浦幌町議会の提案の中には、当該議会で解決できる課題とともに、法制度改革が必要なものがあるという。被選挙権の18歳以上への引き下げ、補欠選挙を当該自治体(要するに首長)の選挙だけではなく他の選挙が行われるときにも可能とすること、選挙公営の拡大、「若者手当」「育児手当」の制度化、企業側を支援する「議会議員チャレンジ奨励金(仮称)」の制度化、などである。浦幌町議会は、これらを検討するとともに、それらの事項をまとめた「地方議会議員のなり手不足を解消するための環境整備を求める意見書」を全会一致で可決し(2017年3月15日)、国に提出した。その後、十勝町村議会議長会、北海道町村議会議長会も同様の内容の要望書を国に提出した。しかし、国からは何の応答もないという。国の誠実な対応が求められるのではあるまいか。
 また、大川村と高知県が兼業禁止規定の緩和と議員報酬の増額に関する要望書を野田聖子総務大臣に手渡していることも、法制度改革を目指す動向の1つである(前回参照)。

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