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2017.12.25 医療・福祉

生活保護への問題提起~NPO法人POSSEの取組みから〜

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4 生活保護行政を改善し、市民の生存権を守るために

 最後に、自治体議員が生活保護行政の改善のために取り組むべき論点について考えていきたい。
 第1に、当該地域における生活保護制度の捕捉率を明らかにする必要がある、ということである。実は、国は2010年に捕捉率を公表したのを最後に、以降公式に捕捉率を把握しておらず、公表もしていない。他方で不正受給件数だけは詳細に把握し毎年公表している。不正受給報道が多くなされる一方で、捕捉率に関する報道が極めて少ないことには、こうした政府の態度も反映されていると思われる。
 いずれにせよ、地域の中にどれだけ生活保護を必要としている人がいて、そのうちどれだけの人が生活保護を利用できているのか、こうしたデータを把握することが重要である。このデータは、市民の生存権を守る上で極めて重要なエビデンスとなる。
 第2に、窓口対応が適正に行われているのかを確認する必要がある。例えば、生活保護の申請書が、市民の誰もが手の届く場所に置かれているかは重要なポイントになるだろう。申請権が侵害されうる問題がないかどうかを具体的に確認してもらいたい。
 第3に、生活保護利用者に対する不当な扱いがないかを確認してもらいたい。例えば、「就労指導」と称して、週2回、ハローワークに行くことを利用者に強いていたとすれば、それは合理性のない不当な指導だと思われる。就労指導として具体的に何を行っているのか、その実態を把握し、適正な指導が行われているか否かをチェックしてもらいたい。
 第4に、生活保護制度についての情報が正しく市民に伝えられているか。生活保護制度は、申請主義をとっているため、生活に困窮していたとしても、本人の申請がなければ保護は開始されない。そのため、生活保護制度についての情報を行政がしっかりと発信していくことが重要だ。
 冒頭にも述べたように、貧困が拡大している今、生活保護制度の役割は極めて重要になってきている。それぞれの自治体の状況を踏まえ、地域の貧困問題に取り組む自治体が増えていくこともまた、切実に求められている。自治体議員の方々の活躍に期待したい。

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