5 おわりに
条例制定後、飲酒運転事故件数(人身事故)は、条例施行年である平成25年の63件に対して、平成26年は55件、平成27年は44件と着実に減少しており、条例及び基本計画に基づく取組みに一定の効果があったものと考えられます。
しかしながら、いまだに飲酒運転は後を絶たず、飲酒運転を原因とする重大な事故が発生している状況にあります。
飲酒運転の根絶のためには、行政による取組みはもちろんのこと、県民一人ひとりが飲酒運転をしない、させない、許さないという自覚を持つことが重要となることから、引き続き、条例の基本方針である「規範意識の定着」と「再発防止」という観点からの取組みを中心として、飲酒運転を根絶するための取組みを県と県民等が一致協力して進めていく必要があります。
○三重県飲酒運転0(ゼロ)をめざす条例
平成25年6月28日
三重県条例第70号
飲酒運転による事故から県民一人ひとりの命を守りたい。これは、誰もが願う切実な思いである。しかし、法律による厳罰化が進み飲酒運転に対する社会的非難が高まっているにもかかわらず、県内においてもいまだ飲酒運転による事故はなくならず、大切な命がこの本来防ぐことができる事故により奪われている。
私たちは、飲酒運転の根絶のためには、法律による厳罰化という外形的な対応だけではなく、規範意識の定着や再発防止という内面的な観点からの取組が必要であると考える。そして、規範意識の定着のためには教育機関等による教育及び知識の普及を、また再発防止のためには特にアルコール依存症に意識を向けることを、実効性ある施策の具体的な取組として掲げる。
また、飲酒運転の根絶のためには、公務に携わる者が率先して取り組むことはもちろん、県民一人ひとりが飲酒運転は大切な命を奪う重大な事故の原因となることを深く認識するとともに、飲酒運転をしない、させない、許さないという強い自覚を持って取り組むことが重要である。
ここに、私たちは、規範意識の定着及び再発防止という観点からの取組を中心に、県、県民等が一致協力し飲酒運転を根絶するための取組を行うことにより、一日でも早く飲酒運転が0(ゼロ)となることに願いを込め、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、飲酒運転の根絶に関し、県の責務並びに県民及び事業者の努力を明らかにするとともに、基本的な計画の策定、教育及び知識の普及、アルコール依存症に関する受診義務その他必要な事項を定めることにより、飲酒運転の根絶に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって県民が安心して暮らすことのできる社会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 飲酒運転 酒気を帯びて自動車等を運転する行為
二 自動車等 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号に規定する自動車、同項第十号に規定する原動機付自転車及び同項第十一号の二に規定する自転車
三 飲食店営業者 酒場、料理店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者
四 酒類販売業者 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第九条第一項の規定により酒類の販売業免許を受けた者
(県の責務)
第三条 県は、飲酒運転の根絶に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、県民、事業者等が行う飲酒運転の根絶に関する取組に関し、必要な支援を行うものとする。
(県民の努力)
第四条 県民は、飲酒運転の根絶に関する取組を自ら進んで行うよう努めるとともに、県その他の者が行う飲酒運転の根絶に関する施策又は取組に協力するよう努めるものとする。