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条例REPORT

2017.09.11 政策研究

議会制民主主義を補完する常設型住民投票条例〜日進市住民投票条例〜

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3 条例の内容・主な特徴及びその後の運用

 日進市の市政に関わる重要事項について、住民の意思を問う住民投票の制度を設けることにより、住民の意思を市政に的確に反映させ、市民主体の自治を推進することを条例の目的としました。
 投票の拘束力については、市議会及び市長は住民投票の結果を尊重しますが、投票結果に法的な拘束力はなく、市政に関わる重要事項について住民に賛否を問う「表決型」としました。
 投票対象は、市政に関わる重要事項のうち、住民にその賛否を問う必要があると認められる事項であり、市及び住民全体に直接の利害関係を有するものとしました。
 ただし、法令の規定に基づき住民投票を行うことができる事項及び地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関する事項は除きました。
 発議権者については、日進市自治基本条例26条2項により住民、議会及び市長は住民投票を発議することができ、投票権者は、満18歳以上の日本国籍を有する者で、投票方式は、「二者択一」で賛否を問う形式としました。
 成立要件は設けないものとしています。また、市長は住民が賛否を判断するために必要な情報を広報活動等を通して提供し、広報活動等の情報提供に際しては、争点についての賛否両論を公平に扱うこととしています。投票運動は自由としますが、買収、脅迫等により住民の自由な意思が制約され、又は不当に干渉されるものであってはならないことなどが定められています。なお、制定後の運用については、現在まで実施されていません。
 このように、常設型の住民投票条例を策定することは、もしものときのための保険のようなものだと考えています。日進市は、平成11年7月の選挙で市民派の市長が選出され、 平成19年7月まで在任していました。平成19年4月に日進市の最高規範となる「日進市自治基本条例」が制定され、10月1日から施行されていなければ、この日進市住民投票条例が策定されることはなかったかもしれません。筆者はその間、福祉課において、市民の人たちと一緒になってワークショップを行い、福祉会館の建設など市民参加による政策の現場の最前線にいました。今となってはよい思い出ですが、当時は2週間に1回の週末にワークショップを行って市民の人たちと話合いをすることは、手間がかかり大変だという印象を持っていました。
 しかし、あの当時、市民参加によるワークショップを経験したことが、現在の観光まちづくりの仕事につながっていると思うと、この住民投票条例の策定に、市民公募の委員として少なからず関わることができたことは、不思議な縁だと感じています。
 日進市の人口は増加傾向にありますが、かつての人口の伸びや税収の伸びと比べると漸増であり、いつまでも行政がすべてを行うことは困難な時代になってきています。住民投票条例について、否定的な議論も見られますが、議会制民主主義を補完する手段として日進市住民投票条例が常設されていることは、日進市の強みだと考えています。
 市民、議会及び市長が、今後の日進市の行く末についての判断を迷ったときに、この住民投票条例を利用して政策を決定することができれば、未来の日進市に何かを残すことができた気がします。

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