十勝標準の試算
「議員報酬は議員活動という役務に対する対価」であるという考え方に基づき、説明が優れている「議員の活動量と町村長の活動量を基にする方式(町村長の給与額を基準とする方式)」により試算する。
議員報酬を求める場合には、当該団体の財政事情、住民所得水準、一般職員給与との比較等、諸般の事情を総合的に考慮し、決定することが適当と考えられているが、一般にこれらの事情は町村長の給与月額を決定する際に、すでに考慮され尽くしていると認められる。したがって、町村長の給与額を基準とすることによって、これらの事情を議員報酬に反映することができるものと考える。
町村長の職務遂行日数については、前出の「議員報酬についての“全国標準”」を参考に330日とした。また、町村長給与月額についても18町村平均値から試算した。
「十勝標準」の試算を終えて~私見
前述したように、議員報酬(月額)「十勝標準」の試算は、実際の議員報酬額を具体的に算定するために行ったものではなく、あくまでも議員活動や議員報酬に関する各町村の議員や住民への説明ツールのひとつとして実施したものである。
各町村議会において、試算する際のポイントとしては、議員活動の範囲の定義を実態に合わせて行うことだ。特に「C その他議会活動」においては、それぞれの議会の色が出るところだろう。議員報酬の金額は、議論の際の分かりやすい目安であり、範囲の定義付けのおまけといっても過言ではない。
また、今回の試算においては、単位時間を設定したが、実際の活動時間が分かるのであれば、それに越したことはない。町村長の職務遂行日数においても同様だ。
なり手不足解消のためには、住民理解と環境整備の2つが必要と私は考える。
環境整備については、全国様々な町村議会でも国へ要望しているところだろう。十勝町村議会議長会においても、年金などの社会保障制度や休暇・復職などの労働環境の整備などを要望している。環境整備が進むかどうかは、不透明なところが多く、我々の力が及ばないところも多い。
ただし、住民理解に関しては、各町村議会の努力が及ぶ範囲だろう。議員になってもらうには、まず議員の仕事を知ってもらい、興味を持ってもらわなければならない。この十勝標準の試算がその一助となれば幸いである。
全国的にこのような試算を行っているところは多いが、全国町村議会議長会においても、昭和53年以来の議員報酬のあり方についての検討を今年の4月から2年間かけて行うようだ。どのような結果になるのか今から楽しみである。2年後というと、ちょうど統一地方選挙の年である。少なからず影響を与えるだろう。次の統一地方選挙においては、なり手不足の問題が解消されていることを祈っている。