(6)市街地整備事業
大規模な自然災害を受けて、再度の災害に負けないまちづくりを実現するための手法として、土地区画整理事業、市街地再開発事業や防災集団移転促進事業、さらに、先行的に復興する拠点を全面買収方式で整備する「一団地の復興拠点市街地形成施設」の事業があります。
以下には、東日本大震災の際に予算制度とセットで活用された「土地区画整理事業」、「防災集団移転促進事業」、さらに、一団地の復興拠点市街地形成施設のうち、津波に特化した「津波復興拠点整備事業」についての図を掲げておきます。
今後、東日本大震災と同等の自然災害が発生した場合には、これらの市街地整備手法の活用が非常に重要になります。
おわりに
これまで3回にわたって、「災害予防」、「緊急事態」、「応急対策」、「復旧・復興対策」について述べてきました。
これらの防災・復興政策については、まず、行政部局において対応することが期待されています。しかし、行政部局はそれぞれ平時の業務分担があり、これらの政策について横断的に準備をしたり、非常時に横断的な対策をとることが苦手です。
しかし、これまで述べた、災害予防から復興までの横断的な対策は、今後の大規模な自然災害に対しては不可欠です。
例えば、災害予防の段階でも、被災後の復旧、復興計画を事前に検討しておく「事前復興計画」の取組みが大事になります。また、住まいという観点から見ても、防災部局は当面の緊急事態対策に集中しがちですが、避難所運営や応急仮設住宅、さらには災害復興公営住宅など、被災者の生活再建という観点から一貫して政策を考えることが重要です。
このような、縦割りになりがちな行政部局の弱点を補うためにも、地方議会の議員の方々には、防災・復興制度の全体像を横断的に視野に入れていただき、平時、そして災害発生時においても、できるだけ被災者の立場に立った提案を行政側に対して行っていただきたいと思います。
今回、私の述べました防災・復興制度については、拙著『最新 防災・復興法制』(第一法規、2017年)に述べてあります。また、特に東日本大震災の復興法制とその運用状況については、『政策課題別都市計画制度徹底活用法』(ぎょうせい、2015年)に詳しく述べてあります。
さらに、具体的に私の話を直接聞いてみたい、現場の職員に話を聞かせたいということであれば、喜んで現地にまいります。ご要望など、sasaki-s2jp@mlit.go.jpに「議員NAVIを読みました」の件名で佐々木までお寄せください。
議員の皆様の活躍で、1人でも多くの人命が大規模自然災害の際に救えることを、そして少しでも早く被災者の生活再建と生業の再建が実現することを祈っています。
※書籍『最新 防災・復興法制』の内容紹介等については、こちらをご覧ください。
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/102732.html